熊野アグリパーク整備事業 概算工事費46億円見込む 熊野市議会に基本設計を説明

 熊野市議会の全員協議会が14日にあり、市当局から熊野アグリパーク整備事業について基本設計の説明があった。これまで令和11年度の施設オープンを目指していたが、令和11年度末から17年度にかけて3段階に分け、順次施設を拡大オープンさせる方針が示された。概算工事費は約46億円を見込んだ。

 同事業は「農業振興をはじめ、市内産業を多角的にリードできる交流拠点を整備し、生産、加工、販売、体験、学びなどを通じ、自然や第1次産業への理解の増進を図るとともに、6次産業化の推進や滞在型観光の促進に資する」目的。建設予定地は金山町の有馬町側から国道311号線を上り、くまのパラダイスの交差点を左折した一帯。

 建築計画は約15種の施設をエリアの特徴に合わせ配置。地形、風景との一体感が埋まれるデザイン、全体の統一感を図りつつも各施設の中身によって特徴がにじみ出るような外観とし、無料エリアと有料エリアがある。

 当初、市では類似施設などを参考に約30億円の工事費を見込んでいたが、基本設計では物価高などの影響から概算工事費46億円とした。主な内訳は造成・景観整備で24億円、建物で22億円。活用予定の補助金は農林水産省の農山漁村振興交付金と内閣府の新しい地方経済環境交付金で約16億8千万円、森林環境譲与税から7億7千万円で計24億5千万円。概算工事費は上がったが、交付金活用により最初の見込みより市の持ち出し金は減る計算という。この他、起債の充当や他の交付金があれば積極的に活用していく。

 組織体制は基本計画で市役所のほか民間企業から出資を募り、新会社を設立という考えだったが、専門家委員会の協議で完全民間との意見が出ている状況。市としては運営主体をどう形成するか委員会と慎重に協議を続ける。ただ、共通認識としては民間の経営を活かした経営のため、市が出資する場合も市長や副市長が役員に就任し経営に直接参画することはないとしているとのこと。

 国の新しい地方創生拠点整備交付金は上限が5億円から10億円になり、期間も長くなった。これを有効活用することを考慮した結果、これまで令和11年度にすべての施設で営業開始を計画していたが、11年度末に無料エリアをプレーオープン。13年度末に有料エリア、17年度に宿泊エリアの営業を開始する3期に分け事業を拡大していく方針とした。

 議員からは運営主体などへの質問や「無理のない計画を運営会社としっかり詰めて」などの声が出ていた。

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