“築城の名手”に想い寄せ 赤城城跡にも多くの人が 初開催の「高虎サミット」盛況

 戦国武将・藤堂高虎公ゆかりの地において魅力あるまちづくりに寄与することを目的とした文化行事「高虎サミットin熊野」(実行委員長・藤田達生三重大学名誉教授)が19、20の両日、熊野市文化交流センターを主会場として開かれ、赤木城散策やセレモニー、シンポジウムなどで藤堂高虎の足跡をたどった。

 19日は紀和町の赤木城跡でくまの高虎研究会の松尾博司、和田利信、岩本直樹さんの案内によるウォーキングイベントがあり、午後からは藤堂宗家第15代当主の藤堂高正さんやゆかりの地首長ら参加の赤木城跡見学会を実施。紀和瀞流太鼓と勢州津高虎隊による競演もあり、山峡に威勢の良い勝鬨も響いた。

 引き続き同センターでサミットセレモニーが開かれ、木本高校吹奏楽部のファンファーレで開幕。各地から多くの来場者が詰めかけるなか、河上敢二市長が「熊野市には高虎公が残してくれた赤木城址があり、近世城郭の原点の一つの城と評価を受け、国の史跡にもなっているところ。ただ小さな山城であり、一般にはなかなか知られていなかった。サミットの開催はたくさんの人に知っていただく良い機会。熊野市も少しでも皆さんとともに高虎公について情報発信でお役にたてれば」と挨拶。藤堂高虎の子孫で藤堂宗家第15代当主藤堂高正さんもサミットの開催に感謝を述べた。

 続いて藤田実行委員長が熊野古道世界遺産登録20周年の記念の年に赤木城がある熊野市でのサミット開催を喜ぶとともに、更なる輪の広がりに期待を寄せ、来場者とともに▽高虎公の業績を守り伝え、全国に発信する▽ゆかりの地として個性があふれる魅力あるまちづくりに取り組む▽高虎公の偉業を共有の至宝とするため、大河ドラマ化へ想いを集積して大きなうねりにしていく―などとするサミット宣言を朗読。キャラクターデザインコンテスト最優秀賞の植村晃子さん(津市)、優秀賞の吉野葵依さん(熊野市)、奨励賞の和田寛さん(伊賀市)、森倉夢さん(御浜町)を表彰した。

 最後に河上市長から次期サミット開催地である津市の前葉泰幸市長へサミット旗が受け渡され、前葉市長は「未来に向かってのテーマも含め、皆さんとともに考える機会となれば。ぜひ2年後は津へお越しください」とPRした。

 さらにこの後、記念シンポジウムがあり、和歌山県立博物館学芸課長の坂本亮太氏、藤田実行委員長、直木賞作家の安部龍太郎氏が史実の裏側にあった高虎の功績などを深く掘り下げて解説。3氏によるパネルディスカッションも含めて、熊野三山の復興に大きく携わり、秀吉や家康からも厚い信頼を得て活躍した高虎と熊野との関係、紀州武士との関わりなど興味深い話を次々と展開し、来場者を引き込んでいた。

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