熊野市紀和町の入鹿中学校で18日、紀和町出身の恵子・ホームズさんが創設者&ディレクターであり、英国人と日本人の和解のために尽力する支援団体「アガペワールド」の一行約30人との交流会が開かれ、生徒たちによる歓迎セレモニーなどで交流を楽しんだ。
第二次大戦中、紀和町の紀州鉱山には日本の捕虜となった約300人のイギリス兵が連行され、強制労働を強いられた。この英国人捕虜はイルカボーイズと自称し、そのうち16人が祖国へ帰ることなく入鹿の地で命を落としている。
恵子・ホームズさんは紀和町出身でイギリス在住。ある時、紀和町の人々によって同墓地がメモリアルガーデンとして大切に管理されていることを知った。それらがきっかけで石碑に名前が刻まれている16人の遺族や元捕虜を探したいと強く願うようになり、長年にわたって遺族や元英軍兵士を日本に招くツアー「心の癒しと和解の旅」を開始。深い憎しみからやがて心が打ち解け、現在では堅い友情、信頼関係が生まれており、今回のツアーには恵子・ホームズさんや息子のダニエル・ホームズさん、イルカボーイズの子孫、入鹿ボーイズの子孫ではないが元捕虜らが参加している。
今回の交流会を前に、入鹿中学校とイギリス各地をウェブ会議ツールZOOMで接続した事前交流を行っており、まずは互いに対面を喜び合うと、生徒たちが歓迎の想いを込めて紀和瀞流太鼓を披露し、一行を喜ばせた。
また、自己紹介に続いては生徒たちが授業で取り組んだ英語の質問で「イギリスの有名な場所はどこですか」「伝統行事はありますか」などと問いかけ、参加者が口々に応答。「日本の料理で一番美味しかったものは」の問いには寿司、てんぷら、から揚げ、とんかつなどと笑顔で答え、生徒たちを喜ばせた。
その後、3年生が校舎内を案内し、教室や美術室、音楽室などを興味深く見学。教室ではデジタル黒板に興味を示し、音楽室では生徒による校歌斉唱に聞き入っていた。
最後は参加者から生徒たちにプレゼントが手渡され、恵子・ホームズさんは「皆さんとお会いできて嬉しかった」として感謝の言葉。西海晴生徒会長は「これまで、海外との交流はありませんでしたが、イギリスの方々に太鼓や学校を紹介出来て良かったです」と話していた。