町の将来像実現に意見を 御浜町政懇談会がスタート

 御浜町は10日、下市木公民館で町政懇談会「町長と語ろう」を開いた。下市木を皮切りに25日まで町内6会場で実施し、町民の意見をまちづくりに役立てる。

 下市木会場では12人が参加。大畑町長は「全国的に課題となっているのが人口減少。人が減るとこれまで出来ていたことができなくなる。どこの市町村も対策をしているが、現実的に人口減少を止めるのは非常に困難。減っていくのはやむを得ないが、何かを起こすことが大事。人口が減っても町の将来像『一人ひとりが、幸せを実感し〝みはま〟らしく輝くまち』を目指し、何をすればいいか、皆さんのご意見を参考にさせていただきたい」と挨拶した。

 今回の座談会は「災害への備え」「農業振興」「若者定住」「健康・医療」の4つのテーマを設け、大畑町長がそれぞれ主要施策について説明した。それによると、災害への備えとして津波地震対策ではこれまで阿田和と下市木に合計4基の津波避難タワーを建設。残り一基を志原に検討している。今後は避難所への避難誘導灯を設置していく。また、今年度は中央公民館の耐震化を設計。阿田和保育園の高台移転も今年度設計し、来年度以降、造成・建築を進め令和9年度の開園を目指す。避難所の充実ではエアコン整備が求められており、検討を要する課題が残っている。自助の面で、大畑町長は住宅耐震化や家具の固定を求めた。建物の一部屋を加工しシェルターにするため県50万円、町50万円の計100万円の補助があるという。町総合防災訓練への参加も呼びかけた。

 農業振興の一番の取り組みの目玉は新規就農者。年間10人を目指している。昨年4月に9人、今年4月に10人あまりが来た。柑橘は優良品種への転換やマルチ栽培を推進し、それぞれ補助金を設けている。

 若者の定住は子育て支援に注力。医療費を18歳まで無償化し、昨年からは学校給食の無償化。0~2歳の保育料無償化を進めており、継続していく考え。住宅を購入したり建てたりした人への助成、新婚生活を支援する補助制度も設けている。学校の安全安心な場所への移転新築は小中学校規模適正配置基本計画を今年度中に策定。今後、場所などを検討するがスクールバスなど通学が課題の一つ。

 健康・医療は住民の関心や意識が高い。国民健康保険の特定検診受診率が県下で最初に60%を超えるなど高くなっており、国の優遇的な交付金を受益者に還元する取り組みを行っている。健康ポイントや健康に関する各種教室を開催し、高齢者の健康を守る取り組みを進めている。一方、医療問題は課題が大きく、紀南病院は人口減少やコロナの影響もあり、患者が減り経営が非常に苦しい状況。これまでの貯蓄がありすぐにどうこうはないが、相当の改革が必要との認識を示した。きなん苑は新たに訪問看護に取り組む。

 住民からは防災面で防波堤の整備や、大雨などで土砂崩れが起きそうな地域の把握・周知、獣害対策への対応などの意見が出ていた。下市木の紀宝警察駐在所の移転についても話が及び、御浜小学校正門前の町有地が候補地となっている。区会では特に異論はなかったという。この他、熊野市の丸山千枚田オーナー制度のように、みかんの木にオーナー制度を設け、ふるさと納税と連携させるなどの提案も出ていた。

 今後の町政懇談会の日程は次の通りで、各会場とも午後7時から。

 ▼11日(金)=阿田和公民館

 ▼17日(木)=志原公民館

 ▼18日(金)=神木公民館

 ▼24日(木)=上市木公民館

 ▼25日(金)=尾呂志公民館

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