医師と棋士の両立目指す 獺ケ口さん(熊野市出身)がプロに 将棋界でも注目集める

 将棋棋士への最終関門となる「第75回奨励会三段リーグ」の最終局が7日、東京の将棋会館で行われ、三重県熊野市出身の獺ケ口笑保人(おそがぐちえほと)三段(24)が15勝3敗で首位になり、10月1日付での四段昇段(プロ入り)を決めた。獺ケ口三段は現在、群馬大医学部4年生に在籍中とあり「医師と棋士の二刀流を目指す異色の棋士」として注目を集めている。

 狭き門で知られる三段リーグは年2回開催しており、各自18局を戦い、原則として上位2人がプロになる厳しい戦い。獺ケ口三段は現在、神経科学やアルツハイマー病を研究しており、2年後には国家試験を受ける予定という環境に身を置きながらも、見事難関突破となった。

 熊野市教育委員会の松尾博司さんによると、獺ケ口三段は中学3年までを熊野市や名張市で過ごし、大阪府内に転居した。熊野市では高学年まで紀和町の入鹿小学校に通学しており、松尾さんが担任を務めた。中学1年時には第27回関西こども将棋大会決勝で、当時小学校4年生の藤井聡太現竜王・名人と対戦して惜敗。藤井竜王・名人のアマ最後の対戦相手が獺ケ口三段だったとも言われている。

 将棋界でも極めて異例なケースとされる医学部在学中の四段昇段(プロ入り)。獺ケ口三段は「自然豊かな三重は自分にとって原風景」と語り、「勝ちにこだわる粘り強い将棋を見せるとともに、医師との両立も目指したい。指し手で注目してもらえる強い棋士になりたい」と意気込んでいるという。

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