熊野市は5月30日、五郷地区で認知症高齢者を想定した「徘徊声かけ訓練」を行った。町民ら14人が参加し「熊野市徘徊SOSネットワーク事業」への理解を深めるとともに、地域ぐるみの見守り体制強化を図った。
市では平成26年12月に市社会福祉協議会や市消防本部、熊野警察署などと連携した「熊野市徘徊SOSネットワーク事業」を展開している。同事業は行方がわからなくなる可能性の高い認知症や知的障がいなどのある人を、家族の希望で登録してもらい、情報共有することで行方不明発生時に備えるもの。
訓練ではまず市健康・長寿課の小松義宣課長補佐が「熊野市徘徊SOSネットワーク事業」について話し、地域の協力を呼びかけた。引き続き、熊野署生活安全刑事課の一海孝治係長、熊野市消防本部の内山孝義警防課長がそれぞれ行方不明者の捜索対応について説明した。徘徊など行方不明になった際、家族などで捜索し日没が迫り警察などに通報するケースが多い。日が暮れると捜索は困難になるため、警察、消防からは共に早めの通報が求められた。
熊野市社会福祉協議会の大和田祐輔係長からはゴーイングサービス(緊急時安否確認事業)が紹介された。これは本人と連絡が取れない時、家族に代わって本人の安否を確認し、状況を知らせるサービス。対象となるのは独居中の65歳以上または心身に障害を有する人の家族など。市社協(0597・89・5000)で問い合わせを受け付けている。
また、市包括支援センターからは保健師の濵口比奈多さんが認知症の特徴や声掛けの方法を伝えた。声をかける時は「ゆっくり近づいて、相手の視野に入ってから話しかける」「穏やかに一つひとつ質問し、すぐに返答がなくてもゆっくり待つ」「捜索中の人、徘徊と思われる人であれば『少し休みませんか』などと、その場に留まってもらえるようにし、警察に連絡する」ことがポイントという。
この間、認知症の高齢者が行方不明になったという設定で徘徊模擬訓練を実践した。同センターの職員が暑いのにニット帽を被っている、靴の大きさがあっていないなど、特徴ある徘徊者に扮し、見かけた住民らが声をかけ、警察に通報するまでの流れを練習した。