熊野市育生町長井の「童心窯」で12日、窯出しが行われ、参加者たちが色合い良い出来上がりを喜んだ。
童心窯は北山村出身の陶芸家・橋詰洋司さんが「焼き物の面白さを伝えたい」と、2010年3月、育生町に住む実母の用地内に自力で窯を建てた。童心窯の名前は、橋詰さんが修行した日本六古窯の一つ、滋賀県信楽の「靖童窯」を主宰する靖童先生から一文字をもらい受け「童心に返り遊び心で楽しむ」という意味が込められている。
同窯に火を入れるのは毎年4~5月と10~11月にかけ年2回。窯の温度を1250度~1300度ほどまで上げ、1週間ほど昼夜を問わず、交代で温度を保つ。
窯出しとなった12日は完成を楽しみに多くの愛好者が童心窯を訪問。橋詰さんらが作品一つひとつを丁寧に取り出した。器や置物など作品は様々で、今回は約400点が仕上がった。すでにベテランの域に達している愛好者も多く、作品の論評にも花が咲いた。中にはピンクに近い色が出た作品もあった。
橋詰さんは「今回も無事に焼き終わりました。例年並みの仕上がり。けっこう温度が上がったのか、よく焼けているという感じ。年令を重ね、だんだんしんどくなってくるけど、協力してくれる人が増えてきたから、助かっています。結構ファンが増えてきている。まだがんばりますよ」と汗を拭っていた。