熊野市紀和町の丸山千枚田で3日、畦そり体験が行われ、各地からオーナー20組・56人が参加し、昔ながらの作業を通じて土の香りに親しんだ。
農耕文化の体感と地域住民との交流を目的に、熊野市ふるさと振興公社(理事長・河上敢二市長)が主催したもの。畦そりは前年に畦にぬった表面の土と草の根を鍬で切り取るもの。田んぼの保水力を維持するため欠かせない「畦塗り」の下準備として必要となる作業。丸山千枚田では、貴重な農耕文化を継承するため、ほとんどの畦そりと畦塗りを手作業で行っている。
作業開始を前に丸山千枚田保存会の喜田俊生会長が「何事も楽しむことが大切。工夫して楽しみながら作業に取り組んでください」と呼びかけ、作業説明。参加者が早速畦そりを体験し、鍬を入れる角度に注意しながら表面を削り取った。
津市から家族4人で訪れた西口洋史さん(47)は「今年度初めてオーナーとなり、中止となった畦塗り以外は田植えや収穫、案山子作り、しめ縄づくりなどすべて体験。子どもたちの経験になればと参加していますが、自分たちも楽しませてもらいました。本当に景色がよく、四季が感じられ、人も温かくて良いところ。千枚田米もとても美味しかったです」と笑顔。鍬をふるった陽大くん(10)、珠央ちゃん(7)も「初めてで大変だったけど、楽しかった」と話した。
また、作業にはインターンで来訪している相模女子大の学生6人も協力。喜田会長は「1年間の各行事の締めくくりで、多くのオーナーさんに体験していただけて良かった」と話していた。なお、作業前には案山子の供養が営まれたほか、作業終了後には餅つき体験が行われ、温かいぜんざいや節分に合わせた恵方巻のふるまいなどもあり、参加者の心と体を癒していた。
同公社では現在、令和6年度丸山千枚田オーナーや守る会の募集もしている。問い合わせは同公社(0597・97・0783)またはホームページで。