尾鷲・紀北、熊野、紀宝の各地区テロ対策パートナーシップによる定例会と合同訓練が13日、熊野市有馬町のJA伊勢三重南紀経済センター「ほほえみかん」で開かれた。
県内の各テロ対策パートナーシップは伊勢志摩サミットを契機に発足し、今年で8年目。「テロを許さない社会・地域づくり」を基本理念に、官民が一体となってテロ対策を推進してきた。今回は参画機関の危機管理意識を醸成するとともに、有事の際における対処能力の向上、関係機関との連携を確認することが狙い。はじめに熊野市民会館で定例会が開かれ、熊野署の奥山幸伸署長がテロ対策への協力に感謝し「今後もテロを巡る情勢は厳しいと予想される。テロ行為を未然に防止し、県民の安全安心を確保するため、テロ対策を継続して推進する。引き続き、官民一体となった取り組みを進めたい」と述べた。また、モデル事業所引継式もあり、尾鷲・紀北地区は中部電力、熊野地区は熊野漁協、紀宝地区はJA伊勢が指定された。
引き続きほほえみかんで合同訓練が行われ、JA、市消防本部、県警、紀宝、熊野、尾鷲の各警察署、各パートナーシップ参画機関などから約100人が参加。爆発物原料の不審購入者への対応、避難誘導、爆発物対処などの訓練を展開した。
訓練は店内で不審な男を発見したと想定し、「ほほえみかん」横の出荷場を店舗に見立てて実施。声をかけたところ、刃物で近くの客を切りつけ逃走したため警察、消防に通報、従業員が客の避難誘導を行った。駆け付けた消防隊が負傷者を搬送、警察官が犯人を制圧して身柄を確保した。
犯人の供述から店内で爆発物のようなものが見つかり、県警機動隊の爆発物対策部隊が撤去処理。訓練の最後は不審者発見の着眼点や不審物発見のポイント、110番通報のポイントなども示された。
終了後は三重県警警備部の濵井良太参事官が「訓練ではそれぞれが役割を把握して動いて頂いた。しかし、実際の現場ではシナリオがない。テロや違法行為を未然に防ぎ、いざというときに的確な行動がとれるよう、日頃から対応能力の向上を図っていただければ」と講評。JAグループ三重役員室の東元崇史室長が総括した。