熊野市の木材関係者らが中心となってつくる「熊野林星会」(野地伸卓会長)が開発した「セーザイゲーム」がウッドデザイン賞2023のハートフルデザイン部門で優秀賞(林野庁長官賞)に輝いた。
同会では木育を軸とした活動で熊野の木のファンを増やし、次代を担う子どもたちが楽しみながら森や木に親しみ、将来的に地域の担い手として活躍してもらえるような取り組みを進めている。「セーザイゲーム」は子どもたちに楽しく林業を学んでもらおうと、三重大学と共同開発。原木の目利きや競り、製材業で重要な木取りなど製材所経営を体験できる。近年では小中学校や高等学校の森林学習などにも活用されている。
ウッドデザイン賞は一般社団法人日本ウッドデザイン協会による、木の良さや価値を再発見させる製品や取り組みについて特に優れたものを消費者目線で評価し表彰する新しい顕彰制度。今年度は全国各地から注目の取り組み31点が選ばれ、今月6~8日に東京ビッグサイトで受賞作品展示が行われた。
6日に会場特設ステージで表彰式があり、熊野林星会の野地会長や会員らが出席。表彰式で挨拶した宮下一郎農林水産大臣は挨拶の中で「遊びを通じて子供たちに製材業の魅力を伝えるセーザイゲームといった、木育の新たな展開を感じさせる優れた取り組み等が受賞された」と讃えた。
審査員からは「普段はなかなか体験できない製材所の仕事を疑似体験できるゲームキット。内容は本格的なもので、特に製材の結果と利益の関連など実業面に配慮している点が重要。初心者にもわかりやすいカードのデザインの工夫など、作り手の思いが込められた作品」と評価された。
野地会長は「名誉な賞を頂きました。全国の方にセーザイゲームを通じて製材業の魅力を知ってもらえれば嬉しいです」と喜びを語った。
なお、熊野林星会は令和2年度全国林業グループコンクールで林野庁長官表彰を受賞するなど、木育の取り組みが全国的に高く評価されている。