熊野市木本小学校(畑中祥司校長)で15日、高齢者疑似体験の授業が行われた。5、6年生が認知症は身近な病気であることを学び、高齢者の介助や車椅子を体験した。
市社会福祉協議会の都竹郁氏さんや、市包括支援センター保健師の濵口比奈多さんらを講師に招いて実施。まずは濵口さんが「高齢者を知ろう」をテーマに、歳を重ねることで変化する心と体について説明した。
濵口さんは認知症に関し「色々な原因で脳の細胞が死ぬ、故障してしまうことで起こる脳の病気。高齢者だけがなるわけではないが、高齢者に多く、認知症かどうかの判断は病院での検査が必要になります」と話した。
主な認知症として細胞がゆっくり死んで脳が萎縮するアルツハイマー型と、脳の血管が詰まって一部の細胞が死ぬ脳血管性があり、現在、国内では65歳以上の7人に1人が認知症と言われている。2025年頃には5人に1人との推計もあり、自治体には地域で認知症の人を支える方法を考えることが求められているという。
認知症と普通の物忘れの違いについて濵口さんは「『昨日の夕ご飯は何を食べましたか?』の問いかけに、何を食べたか思い出せないのは普通の物忘れ。夕ご飯を食べたことを忘れてしまうのが認知症の物忘れ。出来事全体を忘れるのが認知症の症状」と説明。細胞が壊れることによって直接起こる認知症の症状は治らない、または治りくく、性格や周りの環境によって起こる症状は周囲の人の助けで良くなることがあることも伝えた。
この後、児童たちは学年ごとに車椅子の介助を練習。膝が動きにくくなる特殊サポーターや白く曇ったゴーグル、前かがみ姿勢になるベルトなどを使い、白内障の高齢者の視界や歳を重ねることで機能が弱くなる体を疑似体験した。児童たちは講話や体験活動を通じ、自分たちならどんな支援ができるかなどに考えを巡らせていた。