地域福祉に役立ててもらいたいと、御浜町の吉田久市さん(91)は昨年3月23日、町に私財1200万円を寄附した。この功績をたたえ、国は吉田さんに紺綬褒章を贈った。6日に役場で伝達式が行われ、大畑覚町長が天皇陛下からの勲章と賞状を代理で手渡し、改めて深い感謝を伝えた。
紺綬褒章は、公益のため私財を寄附した人に対して授与されるもので、公的機関や公益法人などに500万円以上を寄附した個人、1千万円以上寄附した団体に授与される。大正7(1918)年に制定された。吉田さんは以前にも町に1000万円を寄附し2年前に同褒章を受けており、今回で2回目。
「地域福祉、そして子どもたちの支援に役立ててほしい」。そう話す吉田さん。寄附のきっかけは父親からの教えだった。吉田さんの父親も寄附活動をしており、『世のため人のために働きなさい』という言葉が強く印象に残っているという。その言葉を胸に、高額の寄附を行った。
吉田さんからの要望を受け、町は寄附金を活用して町内全小中学校に本や本棚、書架を購入して「吉田文庫」コーナーを設置。各校の図書室には連日、子どもたちの笑顔が溢れている。
伝達式では、褒章とともに児童生徒から〝今までより読書に興味を持つようになった。図書室に行くのが楽しみになった〟という感謝のメッセージが届けられた。吉田さんは「子どもたちのために使ってもらえてとてもありがたい。この上ない幸せ」と笑顔で話した。
大畑町長は「崇高な志に敬意を表し、心からお礼申し上げます。」と伝えた。