佐渡に「鶯の森」 山を大切に海育む 環境ファースト 荒れた山林を憩いの場に

 NPO法人環境ファースト連合会(椋野玲史会長)は熊野市飛鳥町佐渡地内の山林を「鶯(うぐいす)の森」として再生。4月29日にオープニングセレモニーを行った。同連合会ではウミガメの保護やそれに伴う海岸漂着物の清掃活動などに取り組んでいる。豊かな山林が豊かな海を育むことから、森林の保護活動にも活動の場を広げていく。

 「鶯の森」は約7・8㌶の山林。約20年前、北川県政時代の森林環境創造事業で広葉樹の山作りが行われたが、県の財政難などにより早い段階で森林管理が滞っていた。昨年3月、山林の返還を受けた山主が荒廃した山を見て落胆。元県議の森本繁史さんに相談したところ、実情を知った同連合会が山林保全活動へと取り組みを深めた。

 荒れ果てた林道を舗装し、展望スペースや東屋などを整備。手のつけられなかった山林は景観や鶯など野鳥のさえずりが楽しめる「憩いの場」とも呼べるほどに再生された。

 オープニングセレモニーには近隣市町の首長や県、熊野漁協、紀南漁協の関係者、地元住民ら約50人が参加した。椋野会長が会の活動やこれまでの経緯、「鶯の森」の趣旨などを説明し挨拶。「山林の多い地域でいかにして人間と木が暮らしていくのかというテーマを突きつけられている。これからもこの活動を続けていきたいと思います。精一杯、皆様の善意を集めた活動を末永く行っていきたい」と述べた。

 森本さんは北川県政時代、県議として森林環境創造事業に関係した立場から、計画が頓挫したことや山林の状況をずっと心苦しく思っていた想いを吐露し同連合会の支援に感謝。「鶯の森が未来永劫、市民の憩いの森になるよう協力し、見守って頂きたい」と話した。

 来賓を代表し、地元熊野市の河上敢二市長は「今後の森林の在り方を示す素晴らしい整備をして頂いた。山は海を豊かにするだけではなく、防災の観点など広域的な機能がある。熊野市の林野率は8割。山を整備しなければ発展はないという思いを持っています。これからも制度補助を使って山を大切に守っていきたい」と挨拶した。

 引き続き、椋野会長が整備に貢献した8事業者に感謝のクリスタルを贈呈。椋野会長、森本さん、河上市長、林源次郎御浜町副町長、西田健紀宝町長、田岡実千年新宮市長、山口賢二北山村長が花木を記念植樹。セレモニーの参加者もシャクナゲの苗木を植えた。

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