県立紀南高校がこのたび、日本教育公務員弘済会三重支部主催の「令和4年度学校教育研究論文」で優秀賞を受賞。論文を通じた同校独自の取り組みを受け、市川則文審査員長(三重大学)は「他の学校でも同じような取り組みはあったが、地域と連携し、生徒が自主的に行動しているように感じた」と高く評価した。
この事業は、三重県内の学校(園)における優れた教育実践に基づく教育研究論文に助成金を贈り、県教育の充実と向上に資するというもの。今回の論文の主題は「児童・生徒の実態を踏まえ、明日の学校教育を考える」。紀南高校では「地域とともに歩む学校づくり~『なりたい自分になる』地域に貢献できる人材育成~」と題し、県内第1号のコミュニティスクールであることを生かし▽熊野エリア道の駅協議会と連携した商品開発・販売▽紀伊半島大水害を教訓にした防災学習としてJR東海の協力を受け実際の列車を使用した津波避難訓練▽生徒自らが率先して行うボランティア活動▽生徒がデザインしたキャラ「きにゃん」「きにゃこ」を活用した広報活動―などをまとめている。松本幸子教頭が各種取り組みの担当教諭から話を聞き、代表して執筆した。
本年度は県内の幼稚園、小中学校、高校、特別支援学校などから80校の応募があり、今年の優秀校は10校で、高校では紀南高校のみ。堀越英範校長は「地域に支えられての学校なので、地域との関わりが認められてありがたい。生徒だけでなく、われわれ職員も一緒に地域に育てていただいている」と話した。
弘済会三重支部の西山博推進員が11月29日、同校を訪問して表彰状と賞金を贈った。賞金は同校が取り組んでいる「防災きにゃんプロジェクト」推進のため、御浜町に寄付する予定。同プロジェクトは、南海トラフを震源とした巨大地震の発生が予想される中、自他の命を守る能力を育成するための防災教育。取り組みの一環として、同町と協働して、同校周辺の上地地区への津波避難場所を示すピクトグラム(絵文字)設置を計画している。