JA伊勢はタイ王国へ「不知火」と「せとか」約2・5㌧を輸出する。18日に御浜町下市木のJA伊勢統一選果場で輸出検査が行われた。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で輸出がストップしており、2年ぶりに美味しい南紀ミカンがタイ国民の口に入る。
JA伊勢では旧JA三重南紀時代の2010年から早生温州ミカンを、2012年からは不知火とせとかをタイ王国などへ輸出開始。新たなマーケットへの販路拡大に取り組んでいる。昨年はタイ王国でコロナが流行し、ミカンの消費が鈍った影響もあり、輸出が滞っていた。
18日は三重県職員や関係者らが同席する中、農林水産省の名古屋植物防疫所・四日市出張所の検疫官が検査。ミカンの外観が病害虫に犯されていないかや、箱詰めの状況などを入念にチェックした。
今回、輸出するのは不知火約0・9㌧、せとか約1・65㌧の計約2・5㌧。一昨年は約7㌧を輸出した。JA伊勢によると、2019年まではタイ王国にミカンを輸出する際、輸出回ごとに日本とタイ王国の両植物検疫官による合同調査が必要だったが、2020年5月から日本検疫官のみの検査へと簡略化された。しかし2019年にタイの輸出規制が強化され、ワックス処理の工程等が追加されたことでコスト面・労力面で産地側の負担が大きく、輸出量拡大の大きな障害になっている。2020年度に国補事業を活用し省力化設備を導入することで効率化を図り、今後の輸出量回復を目指すという。
検査に合格したミカンは26日に東京から船でタイ王国へと運ばれ、3月中旬ごろからタイの百貨店などに並ぶ予定。JA伊勢営農柑橘グループの下川顕児さんによると、タイでは日本の2~3倍の値段で販売され富裕層に人気。下川さんは「今年は糖度と酸味のバランスが良く、例年以上に高品質のミカンに仕上がった。タイでは人気が高く、2年ぶりに輸出できて嬉しい。今後も継続したい。これからは1回の輸出量を増やすことが課題」と話していた。