紀宝町鵜殿の紀南漁協へ3月31日、良型のブリ40㌧が水揚げされ、市場が活気づいた。この地方のブリは〝みえ春ぶり〟として地元はじめ東京、名古屋方面に出荷される。
ブリは御浜町の阿田和大敷漁業生産組合(古川正和組合長)の定置網でとれたもの。今シーズンのブリでは一番の水揚げ量。ブリを積んだ第五三濱丸が接岸すると、組合員らが手際よく水槽に振り分けた。情報をキャッチした仲買業者らも次々と訪れ品定めに訪れた。
熊野灘にブリが来遊するのは1~5月で、特に3、4月に集中。10㌔以上の太った個体が多く、太平洋側ではこの時期が一番の美味と言われている。全国的な知名度を向上させ、春の食材として定着させようと昨年、漁業関係者や尾鷲市などが「熊野灘ぶり振興協議会」を設立。日本海側の寒ブリとは異なる趣きの「みえ春ぶり」をPRしている。
阿田和大敷の漁師によると、今回水揚げされたブリは7~8㌔を中心に、10㌔以上も混じるなど良型揃いで、まさに売り出し中の「みえ春ぶり」。2~3月は黒潮の影響で潮が速かったため熊野灘では思うような量にならなかったが、ここに来て少し落ち着いてきたという。
網の中にはサワラも入りだしており、阿田和大敷の関係者らは「これからも黒潮の動向が気になりますが、ようやく大きな量が獲れれて良かった。美味しい春ぶりをぜひ味わって欲しい」と話していた。