商工業発展へ連携密に 熊野商議所が通常議員総会

 熊野商工会議所(榎本義秀会頭)は25日、熊野市文化交流センターで令和6年度通常議員総会を開催。委任状を含め会員ら約48人が出席し、新年度予算や事業計画などを承認した。

 榎本会頭は冒頭「商工会議所事務局でおきた不祥事のため会員の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしました。お金は全額返還されたとは言え、商工会議所への信頼を大きく損ないましたこと、改めて深くお詫び申し上げます」と陳謝。再発防止として監事と合同による事務の総点検見直し、通帳、印鑑、金庫の鍵などの厳重な管理、現金を扱わないインターネットバンキングへの切り替えなどに取り組んだことを報告した。

 また、物価高騰対策や起業支援、商工業振興や滞在型観光の推進、集客交流など熊野市の新年度予算編成は要望以上のものであったと評価。なかでも注目するものとして熊野アグリパーク整備事業を挙げ「高速道路延伸等に伴い地域間競争は更に激化。全国的な人口減少などから、今後の熊野市の地域経済の活性化は、いかに熊野市に人を集めて滞在していただくかにかかってきます。確固たる『集客交流のまち熊野市』を確立し、市内経済を活性化していくためには、集客交流の核となる施設、熊野アグリパークが必要となってきます。熊野商工会議所としても、関心だけではなく積極的に関わっていく必要があると考えていますので、会員の皆様のご協力をよろしくお願いします」と求めた。

 最後に「今年は昭和50年4月に熊野商工会議所が設立されてから、晴れて50周年。これまでも幾多の難局を乗り越え、会議所運営に携わっていただきました多くの先人に対して敬意と感謝を申し上げます。市内事業者の方には必死に頑張っていただいており、商工会議所も、熊野市、三重県、関係団体と連携を更に強め、市内商工業発展のため取り組んでまいりますので、引き続きのご協力をお願いします」と、地域活性化への連携強化を訴えた。

 河上市長は祝辞で過疎・少子高齢化に強い危機感を示し「3月1日時点で市の人口は1万4888人で、高齢化率は45%。大きな要因は高校を卒業するとほとんどの生徒が進学・就職で外へ出て戻ってこないこと。市では奨学金の返還免除の取り組みや人材育成事業、外国人の受入やDXの導入による効率化、短時間労働の需給をマッチングさせるなどの取り組みを行ってきたが、大きな効果は出ていない。しかし新しい取り組みをしない限りは新しい活性化はできないという強い気持ちで取り組んでいるところ。コロナ禍で出生数は大きく減少し、この先20年すれば熊野市に若い世代がいないという悲惨な状況になる。アグリパーク以外にもあらゆる分野で連携を密にし、若い人に魅力ある働く場所をつくっていけるようご理解とご協力を」と呼びかけた。

 議事では令和6年度の一般会計更正収支予算や同7年度予算、事業計画案などを審議した。新年度の一般会計予算は4141万3000円で前年比197万7千円の減となっている。事業計画では補助金活用への支援、DX推進、人手不足対策、専門家派遣など商工会議所としての役割を果たすことを強調。引き続き熊野ブランド認定事業による販路拡大に取り組む。関係団体等と連携しながら観光誘客、物産販売、中心市街地活性化のイベント開催、観光客の受け入れ態勢整備を進めるなど、地域総合経済団体として地域経済・産業の発展と地域活性化に積極的に努める。

 なお、総会後は市農林業振興課から熊野アグリパークの説明も行われた。

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