黒岩池について学んだこと 御浜小4年生「劇団黒岩池」結成 紙芝居で学びの成果を発表

 御浜町立御浜小学校の4年生が昨年から取り組んできた、地元の稲作の発展に寄与する町指定文化財のため池「黒岩池」の学習発表会が12日、学校近くの林松寺で行われた。児童はため池づくりに関わった当時の地元住民の様子を描いた紙芝居『西の平開田記』を披露、集まった地元住民ら約60人に学びの成果を伝えた。

 黒岩池は有形文化財(建造物)として御浜町指定文化財に登録されている。大久保宗悟氏が400年ほど前の江戸時代に下市木の西の平を開墾し、黒岩の溜池を築堤したところから始まる。築堤以降は補強改修がなされていないため、大規模地震等の災害が発生した際には多大な被害を及ぼす恐れがあることから、県は令和4年度から防災対策事業として黒岩池の改修工事を行っている。工事では約350年前のものとされる木製の底樋(池の水を田畑に流す排水栓)や安山岩と呼ばれる石でできた斜樋(池の堤防に設置する水を用水路に導く仕掛け)などが見つかっており、これらは黒岩池を施工した当時の技術者が高い技術を持っていたことが分かる文化的資料となっている。

 児童は昨年11月25日に現地を訪れ、工事を所管する熊野農林事務所から農業用水を確保するための用水源として大切な地域資源であると説明を受けた。12月には溜池の築堤に携わった大久保氏の墓がある林松寺を訪問し、墓を訪れたり同事務所による紙芝居を見たりして、さらに理解を深めた。

 林松寺には地元住民の当時の様子を芝居にした『西の平開田記』の台本が所蔵されており、戦後まもなく同寺22世住職の魚魯中和尚が専門家に依頼して地芝居として公開したのがはじまりと伝わっているという。紙芝居はそれをもとに同事務所が現代文訳にアレンジして作られた。

 紙芝居は児童が「劇団 黒岩池」を結成し、登場人物になりきって熱演。1660~70年代、宗悟が発起人となり下市木村西の平の荒れ地を開墾して田地とし、農業用水を引いてできたのが黒岩池で、この池のおかげで貧しい村が米づくりで栄えたことを紹介した。

  • URLをコピーしました!