「クマノザクラの名所に」―。そう願いを込め、御浜町と公益財団法人岡田文化財団は15日、寺谷総合公園でクマノザクラ植樹祭を実施した。昨年に続いて2年目で、地元スポーツ少年団の小学5・6年生約40人をはじめ関係者らが参加。一般的に5年ほどで見ごたえのあるぐらいに成長すると言われており、数年後、桜の新名所として末永く親しまれることに期待を寄せた。
クマノザクラは自生地が三重、和歌山、奈良の3県にまたがる紀伊半島南部の固有種で、2016(平成28)年に同研究所が約100年ぶりに発見された、1915年にオオシマザクラの種名が発表されて以来、国内の野生のサクラとしては約100年ぶりの新種で、他の桜に比べて開花が早いのが特長。
岡田文化財団が実施する、三重県内17ヵ所に計5000本の桜を植える「さくらプロジェクト」の協力によるもの。寺谷総合公園には17ヵ所のうち最多となるクマノザクラの接ぎ木500本が寄贈されている。植樹は3年計画を予定しており、昨年は150本、本年度も150本植えた。残りの200本の植える場所は、今後検討するという。
植樹祭には、両主催者のほかクマノザクラを保全して後世まで残していくとともに、適切に利用するための諸活動(地域住民への啓発活動、個体情報の収集や発信、調査研究、植樹計画の立案・提案など)を行っている「日本クマノザクラの会」などが参加。樹木医の中村昌幸さんから植樹の説明を受け、子どもたちが公園内の50ヵ所に接ぎ木を植えていった。なお、これに先立って関係者らが公園入口付近の斜面に100本を植えている。
大畑覚町長は「クマノザクラの名所として、町内外からたくさんの人に来てもらえるようにしたい」。同財団の辻晴芳理事は「小学生のみなさんが大人になるころには、大輪を咲かせる立派なサクラになっていると思います」と期待を寄せた。