改めて人口減少対策に注力 新市誕生後最大の予算編成 河上市長が定例会見

 熊野市の河上敢二市長は14日、定例記者会見を行い、新市誕生後の当初予算としては過去最大となる一般会計145億3038万8000円、特別会計・水道事業会計と合わせて総額184億1792万8000円とする令和7年度当初予算案など2月市議会へ提出する32議案や、主な新規事業などについて説明した。

 一般会計当初予算案は前年度比8・7%の増額。河上市長は「熊野市と同程度の他市予算と比較しても20億円以上大きな予算編成。非常に厳しい経済状況が続くなか、熊野市で一番大きな組織である市役所が予算面でも規模を大きくし、経済の下支えをしたいという思い。令和7年度はまちづくりの根幹となる第2次熊野市総合計画の後期基本計画の3年目。特に人口減少に危機意識を持ち、これまでの地方創生などの人口減少対策に加え、改めてすべての分野における人口減少対策の具体的な施策を実行するための検討の場を新たに設けます」とし、新規事業などについても説明した。

 その人口減少対策の一環として、小中学校給食費完全無償化事業など、県下トップレベルの子育て支援施策を継続。負担をさらに軽減すべく、保育所等への新入園の際の準備用品購入支援や、小・中学校の教材費の一部を支援する取組を新たに加え、学童クラブの利用に対する支援も増額した。また、婚活支援では集落支援員を配置し、イベントやセミナーなど出会いの場及び機会を創出する。

 健康・長寿の推進では、改めて予防段階に重点を置き、健康寿命を延ばす取組など様々な施策を展開。独居高齢者が多い状況を鑑みて孤立化への対応も進め、人と接する機会を増やすなどして絆によって支え合う地域共生社会の考えに基づいて地域福祉の充実を図る。

 また、本年度補正予算計上予定分では、物価高騰対策生活者・事業者支援商品券支給事業として市民1人あたり5000円分のレインボー商品券を支給。熊野市駅前の賑わい創出として新たに2店舗をチャレンジショップに改修し、片方は飲食店、もう片方は短期の自由な形態で新規起業を募る。さらに、災害時の避難所生活環境を改善すべく、簡易ベッドやパーテーションなどを揃える。

 新年度の新規事業では、新市誕生20周年の記念事業など40事業に4億3641万1000円を計上。熊野産ワインの製造を目指す醸造用ぶどう実証栽培・産地化事業では圃場整備や苗の定植を行い、大阪・関西万博出展事業では三重県主催ブースで那智黒石の販売や観光PRを展開する。増額した継続事業では市民会館の天井改修事業に概算で9810万円を計上。河上市長は「今年の予算で設計を行っており、通常であれば設計が終わって工事費用が出てくるが、手続きに時間がかかるのでなるべく早く工事にとりかかれるようにした」と説明した。

 新規事業等についての概要は後日、順次掲載。

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