熊野市の令和6年度第2回総合教育会議が10日、熊野市民会館で開かれ、国語力向上の取組などについて議論を深めた。
同会議は教育行政の透明化や、責任の明確さ等を要点とした国の教育委員会制度改正の一環で、各自治体に設置されている。会議には河上敢二市長はじめ倉本勝也教育長、教育委員の北野雅章、根引芳彦、澤田絵里子さんが出席した。
この日は①前回の主だった施策の成果と課題について▽子どもたちの国語力を向上させるために▽市民が郷土の歴史や文化について学び、その価値を理解し、次代に引き継ぐための主体となってもらうために②熊野市教育大綱の改定について―が議題となった。
市教委は国語力向上へ取り組みを進めた読書の推進について、令和5年度と今年1月現在の数字を比較し「図書の貸出冊数は小中学校ともに小規模校で貸出冊数が大きく伸びている反面、それ以外の学校では横ばい。貸出冊数の増加要因には図書館司書の配置により図書室の環境整備が図られ、読書意欲が高まったことなどが考えられる。今後も読書への興味関心を高めるための環境整備や朝読書の充実による読書量の確保、家庭読書の推進による読書習慣の確立などを図る」などと説明した。委員からは司書配置の効果を評価し「学校図書館に人がいる安心感があると思う。職員が順番にというのは難しいと思うが、できれば図書室に誰かがいてほしい」などの声が上がった。
また、中学校などで行っている朝読書を評価する一方、読書以外の学習推進を求める声もあり、倉本教育長は「各校の授業を見る中で最近強く感じるのが、教科書をしっかり読めないというところ。しっかり読めないと聞かれていることを理解し、答えることが難しい。そこを大切にすべき」とし、河上市長も「各クラスの学級文庫に十分な量の本はあるのか。図書室だけではなく周りに本がないと読もうと思わない子もいる。学級文庫にもしっかり配置を。また、朝読書で読んだ本の感想文を書くなど、感じたことをアウトプットする工夫も必要では」と求めた。
引き続き市民が郷土の歴史文化を学ぶ機会として開いている熊野市民大学についても説明。委員や河上市長からは多くの市民に周知し、参加してもらうための取り組みの方法など、更なる改善について注文が付けられた。
更に熊野市教育大綱については学校教育、社会教育の分野から改定のポイントについて説明。防災など安心・安全の確保や心の教育の推進、学力向上の推進、教職員の資質向上、健やかな体の育成、特別支援教育の推進、保護者や地域との連携促進と学校間連携の充実、青少年健全育成、社会教育、文化・スポーツの振興の各分野で前回大綱からの改善ポイントが示された。