熊野市は8日、七里御浜海岸にある国指定の特別天然記念物で世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を構成する獅子岩の支障木伐採作業を行った。〝獅子の口〟に伸びた松や雑木が伐採され、スッキリした表情を見せていた。
獅子岩は地盤の隆起と海蝕によってできた周囲約210㍍、高さ約25㍍の奇岩。巨大な獅子が海に向かって吠えるように見え、大馬神社の狛犬としても親しまれる。
近年、獅子岩では口に当たる部分で松などが生い茂り「景観を損ねている」という市民からの声が上がっていた。絶好の撮影スポットとしても知られる獅子岩は、季節によっては満月や太陽が口部分に収まり「月を噛む獅子」などとして人気。しかし、口の中の雑木が邪魔をするためカメラ愛好者からも伐採を求める意見が出ていた。
8日は午前8時から伐採作業が行われた。一般社団法人 三重県山岳・スポーツクライミング連盟(加藤正之会長)の関係者ら13人が作業。手慣れた手つきで、昼過ぎには作業がほぼ完了した。
市に要望活動を続けていた木本町の小山裕二さんも作業に協力。「2023年4月に市役所の2課長に『獅子岩の口の松が大きくなれば、根も太くなり崩落の可能性も出てきます』とご説明いたしました。令和6年度予算で対応していただけることになり、当初は11月の予定でしたが2月になりました。これで5月6日~8月6日迄の、太陽が獅子岩の口に入ります。1年10ヵ月かかりましたが、三重県山岳・スポーツクライミング連盟の方々有難うございました」と話していた。
なお、小山さんによると太陽が獅子岩の口に入る見頃は夏至の前後1ヵ月。2025年12月5日は午後5時29分ごろにコールドムーン、2026年1月3日午後5時21分ごろはウルフムーンが獅子岩の口に入る計算だという。