三重県立紀南高校が令和6年度「みえの防災大賞」で「みえの防災特別賞」に輝き、6日、熊野市井戸町の県熊野庁舎で表彰式が行われた。生徒を代表し賞状を受け取った中村優香さん(2年)は「震災が起きたとしても、安全安心に避難し命を守れる環境を作っていきたい」と活動を誇った。
「みえの防災大賞」は県内各地で自主的な防災活動に取り組んでいる団体を表彰し、活動を県民に広く知ってもらい、災害に強い三重づくりを進めることを目的に平成18年度から実施している。
紀南高校は令和3年に東日本大震災の被災地で学ぶ「三重県学校防災ボランティア事業」に生徒7名が参加。被災地での活動から、自校周辺には小さな避難路への案内板がないことに気づき、避難所を示す案内板、ピクトグラム設置をめざすことを目的に活動を開始した。
令和5年度は地元企業などからの協賛品で非常持出袋「防災避にゃんセット」を制作・販売。収益を案内板の設置費用に充て、町内の施設2ヵ所に津波避難用案内板を設置した。地元の製菓会社と防災食の共同開発にも取り組んだ。
令和6年度は「地域創造学」選択生13人が中心となり、JRC部とともに生徒が安全に津波から避難できるよう▽津波避難マニュアルの見直し▽二次避難場所の選定▽最短避難ルートに横断歩道の設置の要望▽避難場所に防災備蓄倉庫の設置に向けた活動▽活動メンバーが企画・運営する津波避難訓練を実施。特に最短避難ルートに横断歩道の設置の要望は、避難の最短避難ルート上に横断歩道が設置されるよう全校生徒・教職員に署名を求め、地元警察署に要望するなど高校生目線での取組を進めてきた。
同校は昨年度、奨励賞に選定。その後も活動に広がりがみられ「みえの防災大賞」受賞団体に並ぶ防災活動に取り組む団体として今年度、特別賞を受賞した。
表彰式には1年生時から活動に参加している中村さんが出席。紀南地域活性化局の天野長志局長が賞状を手渡した。
中村さんは「選考会で上手くプレゼンができませんでしたが、素晴らしい賞をいただけ、みんな喜んでいます。私たちは津波避難マニュアルや避難訓練の取り組みを高校生県議会で発表し、それ以来、県議会議員の方をはじめ色々な方からアドバイスを貰っています。その結果、来年度から避難訓練を地元の警察の方の協力の上で実施することができるようになりました。活動が良い方向に向かいすごく嬉しいです」と喜んだ。
天野局長も避難所への横断歩道設置を求める全校署名などの取り組みに敬意を表し「災害時は高校生のみなさんが大きな力を発揮します。受賞をきっかけに、皆さんの活動が更に発展されるよう祈念します」と期待を寄せた。