介護報酬不正請求裁判に決着 紀南介護保険広域連合事務所を旧共済組合(井戸)へ移転

 紀南介護保険広域連合(連合長・河上敢二熊野市長)の議員説明会と令和6年12月定例会が24日、県熊野庁舎で開かれた。現在使用している県庁舎内の事務所契約が来年3月で切れるため、熊野市井戸町の旧三重県農業共済組合東紀州支所へ移転を進めることなどが報告された。「デイサービスわらき」の介護報酬不正請求に伴う損害賠償請求の訴えについての説明もあり、同連合の訴えが全て認められる判決がくだされたことが明らかになった。今後は適正に債務回収を行う。

 同連合は熊野市、御浜町、紀宝町の首長、議員らで構成。河上連合長、大畑覚御浜町長、西田健紀宝同はじめ3市町の議員らが出席した。

 まずは議員説明会が行われ、河上連合長が状況を報告した。

 それによると、今年度は介護報酬改定に伴い保険給付費の伸びが見込まれていたが、11月までひと月あたり約4億3千万円で、昨年同時期と比較し2%減少。10月末の実認定者数は3409人で昨年同時期比21人減少している。

 しかしながら、管内の高齢化率は約42%と依然として高い。令和7年は団塊の世代が後期高齢者となりサービス利用量の増加が見込まれることから厳しい状況が考えられる。河上連合長は「高齢者の皆様が住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らせる社会の実現を目指し、より一層の努力を積み重ねてまいりたい」と述べた。

 事務局の説明によると、今年10月1日現在の熊野市・南牟婁郡の人口は合計3万3007人で、65歳以上は1万3809人。高齢化率は前年同時期に比べ0・48ポイント上昇し41・84%。令和6年10月末現在の実認定者数は要支援1から要介護5まで合わせて3409人(熊野市1763人、御浜町747人、紀宝町899人)。

 また、同連合会は現在、県熊野庁舎に事務所を構えているが、現事務所の契約が今年度末までとなっていることから来年1月から移転準備を進めるという。新事務所は交通手段のある市街地、事務所としての広さ、来客用駐車場、事務処理に必要な機器が安全に使用できることなどを考慮。現在使用されていない旧三重県農業共済組合東紀州支所を新たな事務所とする。場所はイオン熊野店の裏手。今後の手続きとしては、1月から窓口業務の移転を進め、業務が滞ることのないよう適切に対処。各市町での事務所変更に伴う規約改正に関する議決を経て、県に届け出るという。

 引き続き、全員協議会が行われ、有限会社わらきが運営する「デイサービスわらき」の介護報酬不正請求に伴う損害賠償請求の訴えについての判決が報告された。同施設では看護職員が欠如しているにも関わらず、41ヵ月に渡って満額請求し、約2147万円を不正請求していた。

 報告によると、同連合では今年1月29日に津地方裁判所熊野支局へ訴状を提出。11月21日に判決が言い渡され、12月7日に確定。同連合の訴えがすべて認められた。

 被告側は損害額を一括で支払えないとの申し出があり、賠償金回収が最優先であることから事業を続けながら一定額を毎月分割、半年に1回程度履行状況の協議などを決め契約書を作成。適正に債務回収を行っていくという。

 この後、定例会へと移り、一般会計補正予算(第2号)や介護保険事業特別会計補正(同)を可決した。

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