自然や産業学び成長 熊野こどもだいがっこう

 次世代を担う子どもたちに熊野の素晴らしさを伝え、地域の未来を築く教育プロジェクト「熊野こどもだいがっこう」(野地伸卓代表)が2日から4日にかけ、熊野市内で開かれた。小学4~6年生7人が参加。実行委員会メンバー、学生、教員など約40人のスタッフとともに自然や地域産業体験などを通じ大きく成長した。

 同プロジェクトは熊野のことや暮らしを体験しながら深く知り、子どもと一緒に未来の熊野を作る機会を提供していこうと、熊野商工会議所青年部や三重大学・坂本研究室、近畿大学・佐野同、早稲田大学など熊野地域で活動してきた大学と連携し実施。大学のない地域で、大学生との交流を通じて多様な視点からの学び、進学への動機づけ、地域の魅力を知ることにより自らの自信を育むことなどを狙いとした。当初8月に予定していたが台風の影響で延期していた。

 初日は早稲田大学・高口研究室が担当し、熊野原木市場でセーザイゲームに挑戦。子どもたちが製材業の経営を疑似体験し、持続可能な林業について考えた。自然の家に宿泊し、2日目は三重大学坂本研究所の担当で、遊木漁港の魚市場へ。定置網体験を予定していたが、台風の影響で波が高く断念。セリの見学や魚の血抜き体験を行った。磯崎漁港に移動し、漁師から熊野の漁業の説明を受けた。子どもたちは海水温の上昇などにより熊野近海で魚が捕れなくなってきた現場なども知った。実際に漁船にも乗せてもらい、海風を肌で感じ取った。この日、児童たちは巨大地震についても学習。木本町の畑辰商店の協力で干物作りにも挑戦した。

 最終日は近畿大学佐野研究室が担当し、木造建築を学ぶ回となった。神川町の旧神上中学校をフィールドに、大工道具の使い方を練習。新宮市の野中工務店や学生から教わりながら熊野杉で写真立てを作った。午後からは本物の木材で二階建ての小屋づくり。図面を見ながら木材をはめ込み、掛矢で柱を打ち込んだ。最後に棟木を入れ小屋が完成すると、喜びの声が上がった。

 とんがり帽子を被っての卒業式では、野地代表から一人ひとりに桧の板を彫り込んだ修了証が手渡された。

  • URLをコピーしました!