災害時迅速な生活再建に 御浜町紀宝町県農業共済組合と協定 全国初めての取り組み

 災害発生時に農業者の生活再建を迅速かつ円滑に行うことを目的に、御浜町と紀宝町は24日、三重県農業共済組合(NOSAI三重)と「災害時の協力に関する協定」を締結した。農業共済は全国47都道府県に1つずつ設置されているが、今回の協定はNOSAI三重が全国初。有事の際、NOSAI三重が保有する農業者の被害に関する情報を両町に提供し、被害認定調査などに活用する。年内いっぱいを目途に県内全29市町と協定を結ぶ予定。

 農業は安心安全な食料を国民に提供するという重要な役割を担っている一方、自然環境に大きく左右されるリスクの高い産業で、災害に見舞われると、復旧に長い時間と大きな労力が必要になる。そのため、自然災害や不慮の事故、価格低下などにより農業者が受ける損失を補填し、農業経営の安定と農業生産の継続・発展を目的とした「収入保険制度」と「農業共済制度」という2つの国の公的保険制度が設けられている。農業者はこれらの制度に加入し、より自らの経営実態に合ったリスク対策をとることが可能になっている。NOSAI三重は、加入者から保険料等を預かり、収入減少があった場合に加入者へ保険金等を支払うなどの窓口業務を行っている。

 NOSAI三重の和田隆専務理事らが両町役場を訪れ、大畑覚町長、西田健町長との協定式に臨んだ。和田専務理事は、昨今の激甚化の一途をたどる自然災害を憂い、専門分野を生かしたサポートへ意欲。「南北に長い三重県において、いつ、どこで被害が起こっても協力できる体制を」と述べた。

 大畑町長は、頻発する災害をはじめ、当地域にも甚大な被害を及ぼすおそれのある南海トラフ巨大地震にも危機感を示し、「〝年中みかんのとれるまち〟御浜町には水田も含めて約700㌶もの園地がある。有事の際の情報提供は大変ありがたい」。西田町長は「災害時は避難された方の生活のサポートが優先で、人手のこともあってほかの部分が遅れてしまいがち。そういった点でこのような協力はとてもありがたい」と感謝した。

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