引作の大楠も実物を 南方熊楠について特集 来月4日まで古道センターで企画展

 尾鷲市の熊野古道センターで現在、特別展示室企画展「南方熊楠~熊楠が見つめた熊野~」が開かれている。

 同センターによると南方熊楠は和歌山県で生まれ、博物学者、植物学者、民俗学者として名を馳せ、エコロジーという言葉を使った自然保護運動の先駆者と称される人物。明治政府の神社合祀政策に反対し、人の暮らしや文化にも関わる自然環境保護の重要性を訴えた。

 熊楠の活動により守られた田辺湾に浮かぶ「神島」、継桜王子跡「野中の一方杉」等は現在、国指定文化財や世界遺産としてその価値が認められており、この地域では伐採される寸前だった「引作の大楠」(御浜町)を守ったことが広く知られている。

 今展では、家族により大切に保管され、現在は南方熊楠顕彰館に収蔵されている約2万5000点の研究資料の中から、明治時代に採集された植物標本や実際に使用していた採集道具、神社合祀の反対を綴った直筆の原稿、熊楠本人の写真等、貴重な資料を展示。パネルでは熊楠と熊野古道の関係を解説したものや年表などに加え、引作の大楠についての紹介と2007年に折損した大枝の一部も展示された。

 同展は11月4日までで入場無料。会期中は無休で開館時間は午前10時から午後5時まで。同センターでは「南方熊楠顕彰館のご協力により、貴重な資料を展示して南方熊楠の足跡を紹介します。この機会にぜひご来場を」と呼びかけている。問い合わせは同センター(0597・25・2666)まで。

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