イルカボーイズの家族も 来月19日紀和の英国人墓地で追悼式

 第二次世界大戦で日本軍に抑留され、旧入鹿村(現熊野市紀和町)の石原産業紀州鉱山で強制労働に従事した英国人捕虜「イルカボーイズ」の家族ら9人が10月19日、紀和町板屋の英国人墓地で営まれる追悼式に参列する。

 第二次大戦中、入鹿鉱山には日本の捕虜となった約三百人のイギリス兵が連行され、強制労働を強いられた。そのうち、16人が祖国へ帰ることなく入鹿の地で命を落としている。紀和町の人々は英国人たちが眠る墓地をメモリアルガーデンとして大切に管理している。

 そのことに感銘を受けた同町出身、イギリス在住の恵子・ホームズさんが石碑に名前が刻まれている十六人の遺族や元捕虜を探したいと強く願うようになり、支援団体「アガペ」と共に、平成3年からイルカボーイズの遺族や元英軍兵士を日本に招くツアー「心の癒しと和解の旅」を開始。両国の架け橋となった活動に憎しみからやがて心が打ち解け、現在では堅い友情、信頼関係が生まれている。なお、恵子・ホームズさんは1998年に英国女王から大英四級勲功章、2018年の春の叙勲では「旭日双光章」を受章している。

 一行は10月16日に紀和町に到着予定。17日は鉱山資料館や丸山千枚田などを見学。18日には入鹿小学校と同中学校で子どもたちと交流する。19日の追悼式は午前10時から約1時間行われるという。

 今回、紀和町を訪れるのはイルカボーイズの家族は、息子であるアシュレイさんとシルビア夫人。アシュレイさんによると、父親は日本軍がインパール作戦の物資輸送のため、タイ・ビルマ間に建設した泰緬鉄道で酷い目にあったが、入鹿は比較的良かったと話していた。アシュレイさんは記念碑を建ててくれたり、戦時中捕虜に親切にしたりしてくれた田舎の人たちに感謝しているという。この他、イルカボーイズの子孫ではないが元捕虜の家族7人が追悼式に参加する。

 両国の架け橋となり奔走してきた恵子ホームズさんは「追悼式にはぜひ、地域の皆さんが参加されることを望んでいます」と話している。

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