相続・遺言の準備は早くから 新宮公証役場三橋さんが語る

 御浜町、同町社会福祉協議会による高齢者権利擁護研修会「転ばぬ先の杖!?元気なうちから始める相続・遺言の準備」が28日、町福祉健康センターで開かれた。新宮公証役場の公証人・三橋豊さんが相続、遺言、遺産分割に関連した話を展開し、来場者に老いと生きを考えるきっかけにしてもらった。

 今年4月から、相続登記の申請が義務化されている。土地や建物といった不動産を相続(遺言も含む)で取得した人は、それを知った日から3年以内に法務局に相続登記しなければならない。遺産分割の話し合いで不動産を取得した場合も、遺産分割から3年以内に登記する必要がある。令和6年4月1日以前に相続した不動産も、相続登記されていないものは申請義務化の対象(令和9年3月31日までに申請)になる。相続人が極めて多数で、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要する場合など、正当な理由がないのに申請しないと10万円以下の過料が科される可能性がある。早期の遺産分割が難しい場合は、法務局へ「相続人申告登記」という戸籍などを提出して自分が相続人であることを申告する簡易な手続きをとって義務を果たすことができる。

 人生が終わりを迎える時、残された土地や自宅などの大切な財産が配偶者や子どもなどの相続人に滞りなく受け継がれるよう、「遺言書」を作っておくとスムーズにいきやすいが、遺言書は民法で定める方式でなければならないなどの制約があるため、公証人や弁護士といった専門家に相談して作るのがよい。万が一遺言書がなく遺産分割協議で意見がまとまらない場合、法定相続人の順位は①配偶者②子(死亡している場合は孫)、実子・養子③父母や祖父母といった直系尊属④甥や姪といった兄弟姉妹―となっていき、被相続人との関係によって法定相続分の割合も変わっていく。

 三橋さんは▽相続には遺言と遺産分割がある▽遺言は生前の遺言者の意思で、遺産分割は死後に相続人の話し合いで財産が引き継がれる▽遺言は作る時に手間暇かかるが、相続人は手続きが簡単。遺産分割は話し合いに時間と費用を要し、相続人の手続きが大変▽遺言には自筆証書遺言と公正証書遺言がある▽自筆遺言は自分で記入して安価だが、無効になる危険性がある。公正証書は多少の手間と費用がかかるが、確実で安心できる▽遺言でないと相続できない場合もある―とまとめ、「人は必ず亡くなります。亡くなることによりその人の権利は誰かに引き継がれます。遺言は一生に一度のもの。気になる方はお気軽に公証役場にご相談を」と呼びかけた。

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