折綴ったスカイランタンも 世界遺産20周年を祝福 尾鷲で国際シンポジウム

 三重県は7日、尾鷲市の熊野古道センターで熊野古道世界遺産登録20周年記念国際シンポジウムを開催。大勢の来場者が訪れ、盛大に節目を祝った。

 平成16年7月7日に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されて7日で20周年となることを記念。地元首長や保全団体、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を有するスペインのバスク自治州から関係者を招き、国際シンポジウムとして開催したもの。

 尾鷲節の勇壮な太鼓演奏がオープニングを飾り、一見勝之知事が日ごろの保全活動などへの感謝と松本峠などを歩いたエピソードを述べ「巡礼道の感じ方は人それぞれだが、私は自分の人生を考える時間と思う。これからこの巡礼道をどうしていくのか、まだまだやらなければいけないことはたくさんあると感じている。今日はこの記念すべき日に多くのことを学んでもらいたい」と挨拶。加藤千速尾鷲市長も歓迎の意を示し「こうした道でつながった縁と、世界遺産である紀伊山地の霊場と参詣道を後世につないでいくことが我々の重要な役割。歴史的遺産を観光資源として活用しながら保存、継承していくために歴史を振り返り、文化を学び、先人たちの足跡を理解することが重要と考えています」と述べた。

 続いてNPO法人日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会代表理事の金塚多佳子さんが「サンティアゴ巡礼とは?サンティアゴ巡礼の現在とバスク州を通る巡礼路の案内」をテーマに基調講演。金塚さんはバスク州を通る「北の道」を中心に語り、友の会の活動についても紹介。歴史的・伝統的価値を損なわないために行っていることも紹介した。

 その後、同センターの宮本秀男センター長とバスク自治州から訪れたホセ・マリ・イザガさん、熊野古道語り部友の会の西尾寛明さんらが「バスクの道と伊勢路~現代の巡礼道を考える~」をテーマとしてパネルディスカッション。世界遺産の巡礼路について語りあった。

 また、会場ではバスクの道と伊勢路の2つの巡礼道の写真展が行われ、絵地図作家の植野めぐみさんがギャラリートークを実施。夕方からは協同組合尾鷲観光物産協会による飲食店ブースやダンスステージなどの「ランタンマルシェ」が、午後6時半からは尾鷲市主催で子どもたちの祈りを込めたランタンが夜空に浮かぶ「スカイランタンに願いを込めて」が開かれるなど、地域を挙げて盛大に20周年を祝った。

  • URLをコピーしました!