上池原の国道169号 仮橋で交互通行可能に 本格復旧はトンネル工決定

 昨年12月に発生した崩落で通行止めとなっていた奈良県下北山村上池原地内の一般国道169号は28日午前5時30分から、仮橋による交互通行が可能になった。また、国の権限代行による復旧事業を進めてきた「国道169号下北山村上池原地区防災対策検討委員会」では、地質調査の結果から、別線(山側)トンネルによる本格復旧を決定した。

 崩落は昨年12月23日午後9時ごろ発生。法面が幅20~30㍍、高さ40㍍、深さ4~5㍍にわたり斜面崩壊し、通行中の車両が巻き込まれ70代男性が亡くなった。

 同線は重要物流道路に指定されており、日常生活や運輸など事業活動に大きな支障が出た。3月27日に国の権限代行による災害復旧事業に着手。4月30日から緊急車両に限り仮橋を通行可能となっていた。関係市町村で構成する「国道169号線改良促進連絡協議会」では、今年度の総会で特別決議を採択するなど、一丸となって早期復旧を訴えてきた。

 奈良国道事務所によると、深層崩壊の予兆を事前に感知する監視体制が整ったことから、一般車両の交互通行による仮橋通行を開始。先導車による交互通行を24時間体制で実施する。ただし現地に設置した計測器などで斜面の異常を感知するれば通行止め。雨量規制の基準値は時間雨量25㍉、連続雨量70㍉とし、規制時はゲートにより封鎖する。

 一方、復旧作業にあたっている「国道169号下北山村上池原地区防災対策検討委員会」(委員長・大西有三京都大学名誉教授)では、26日に委員会を開催した。これまでの地質調査結果から、深層崩壊の危険性及び範囲、国道169号全線にわたり地すべりや重力性変形に伴う緩み地形の存在が判明。本格復旧案として、原位置復旧(アンカー工)、別選(ダム湖側)橋梁、同(山側)トンネルを比較検討した結果、施工安全性や維持管理、工期、経済性で別線(山側)トンネルが優位と確認した。別選トンネルルートは下北山村前鬼から上池原の延長約2・9㌔(内トンネル2・7㌔)。

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