防災の道へ意義ある一歩 熊野道路トンネル工事の着工祝う

 熊野市大泊町と久生屋町を結ぶ国道42号熊野道路のトンネル着工式が11日、市文化交流センターで開かれた。鈴木英敬衆議院議員はじめ一見勝之知事、近隣自治体の首長、関係者ら約60人が出席。工事の安全と早期完成を祈願し、命の道の進捗を祝った。

 国道42号熊野道路は平成26年度に事業着手し、令和元年度に着工。近畿自動車道紀勢線の一部となって、高規格道路のミッシングリンク解消及び直轄国道とのダブルネットワーク化による道路ネットワーク機能強化を目的に計画された延長6・7㌔の一般国道の自動車専用道路。4本予定しているトンネルの内、11日からはいよいよ大泊町から木本町までの熊野第1トンネル(仮称・延長約860㍍)と、木本町から井戸町までの熊野第2トンネル(仮称・延長約1300㍍)の本体工事がスタートした。

 着工式の記念式典では主催者を代表し、熊野市の河上敢二市長が地権者や国、県、地元住民ら多くの協力に感謝を述べ「熊野尾鷲道路、紀勢線で様々なストック効果が現れている。しかし市街地や御浜、紀宝町へは国道42号が唯一の幹線道路。これまで2度、鬼ヶ城トンネルの落石などで通行規制が行われ、大きな影響が発生した。南海トラフが発生した際、国道42号は津波の浸水が想定されている。並行ルートとして整備される熊野道路は安全安心を確保する重要な役割を担う。立地の似ている能登を見る時、災害に強い命の道となる熊野道路にはこれまで以上に大きな期待を寄せます。一日も早い早期完成、紀宝熊野道路の早期工事着手、紀伊半島一周高速道路の実現に関係機関と協力し、全力で取り組んでまいります」と式辞。

 事業者を代表し国土交通省中部地方整備局の佐藤寿延局長が「能登半島を見ると、2本の道路を持つのは大きな効果がある」と、新しい道路は防災面で大きな機能を持つことを語り「しっかり造って行くことをお約束したい」と挨拶した。

 来賓の鈴木衆院議員は「建国記念の日に大変意義のある一歩。今年は熊野道路トンネル着工と秋には新宮紀宝道路の開通と、東紀州の飛躍再生の鍵を握る大きな一歩を歩む年。一日も早い開通が命を救うことに繋がる。予算確保に全力を尽くしてまいりたい」。中川康洋衆院議員は「平成23年の紀伊半島大水害で半島一周道路、新たな命の道の必要性を感じた」。吉川ゆうみ参院議員は「観光、産業や安全を守るためにもインフラ整備」。山本佐知子参院議員は「自然災害の多い日本は支援の道が重要。道路が進むことで若い方の可能性や地域経済を切り開く第一歩になれば」。一見知事は「災害対応で重要なのは人が動く道、物資を運ぶ道」と、それぞれ高規格道路網の早期完成への想いを祝辞とした。

 来賓紹介に続き、紀勢国道事務所の市川幸治所長が事業概要を、第1トンネルを受け持つアイサワ工業㈱、第2トンネルの㈱熊谷組がそれぞれ事業や工事について説明。この後、関係者が鍬入れ式を行い工事の安全を祈願。近畿自動車道紀勢線(熊野市―新宮間)建設促進同盟会会長・西田健紀宝町長の発声で万歳三唱し着工を祝った。

 着工式の前にはオープニングイベントとして木本高校吹奏楽部が「UFO」など4曲を演奏。生き生きとした生徒たちの姿に、出席者らは「子どもたちの未来の可能性のためにも、早く道路を完成させたい」と決意を強めていた。

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