熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が2004年7月7日に世界遺産登録され、今年で20年を迎える。登録後は国内からの旅行客はもちろん、インバウンド(外国人観光客)も増加傾向にある。熊野古道周辺の地域では、将来を見据えて国内外からの誘客に取り組むとともに次世代へ熊野古道の価値を伝え、持続可能な観光地域づくりを推進している。
今回、節目の年を迎えるということで、熊野古道に関係する「花の窟神社」(熊野市:山川均宮司)と「熊野本宮大社」(田辺市本宮町:九鬼家隆宮司)による結御朱印が調製された。花の窟神社では2月2日から、本宮大社では3日から1年間、頒布する。
本宮大社の例大祭では、神輿の渡御に際して、大斎原(おおゆのはら)で斎行する神事において、子どもたちによる大和舞が奉納される。これに合わせて、氏子総代が歌うのが「有馬窟の歌」「花の窟の歌」といわれるもので、それぞれの歌詞は『有馬や 祭りは 花の幡立て笛に鼓に うたひ舞ひ うたひ舞ひ』、『花の窟は 神の窟ぞ 祝へや子ども 祝へ子ら 祝へ子ら』となっている。また、花の窟神社の主祭神「イザナミノミコト」は本宮大社の主祭神である「スサノオノミコト」の母であることから、両者は深い関係性がある。両社の御朱印を合わせると、中央に日本書紀神代巻の一文『花の時に 花を以って祭る 又鼓 吹幡旗を用て歌い 舞いて祭る』が記され、母子の絆が表現されるというものになっている。
これらの御朱印には、核家族化などを要因に家族の絆も希薄になってきている現代において、主祭神が母と子の関係である両社が母から子への愛情、子から母への思慕の重要さを発信したいという思いが込められている。
25日、本宮大社で取り組みの説明があった。九鬼家隆宮司は「母と子のつながりを明確に残すとともに広く知ってもらいたい」と話し、今回の世界遺産登録20年を機にこれからも続いていく絆を大切にしていきたいとした。