熊野市や南牟婁郡で詐欺と思われる不審なメールや電話が相次いで確認されている。熊野、紀宝両警察署や防犯関係者などは「不審な電話やメール、身に覚えのない請求などがあった場合は決して一人で悩まず、周囲の人や警察、関係機関等にご相談を」と呼びかけている。
県内では今年1~8月で184件の特殊詐欺被害が発生。前年同時期に比べ110件多い。被害額も約3億8320万円と、前年同期の2億630万円から約1・5倍。今年の被害件数の内訳はオレオレ詐欺11件約2270万円、預貯金詐欺31件約3千万円、架空料金請求詐欺96件約2億1380円、還付金詐欺34件約4120万円、融資保証金詐欺2件約190万円、金融商品詐欺1件約6430万円、その他2件約40万円、キャッシュカード詐欺盗難6件約820万円。特に県内では携帯メールなどで料金の未払いがある内容を送り付け、折返し連絡のあった人からお金をだまし取る架空料金請求詐欺が多い傾向。
熊野市・南牟婁郡でも熊野署管内で5月に架空請求詐欺1件(被害額約950万円)が発生。紀宝署管内では9月に入り、SNSで金取引を持ちかけられ約930万円を騙し取られる被害と、約50万円の還付金詐欺被害が立て続けに起こった。金融機関の窓口で職員が特殊詐欺被害を未然に防ぐケースもあり、想像以上に詐欺の魔の手は身近にある。
警察や行政などでは高齢者の集まる催しなどで啓発活動を続けている。27日は熊野市有馬町の口有馬地区高齢者サロン「なごみ」(和田いく子代表)で、熊野市市民保険課の職員が約30人の参加者に講話。詐欺の手口などを説明し、不審電話撃退に効果的な通話録音装置などについて話した。
防犯関係者は「詐欺は、自分だけは大丈夫という思いに付け込んできます。行政職員が還付金の受け取りのために、金融機関やコンビニエンスストアでATMの操作を求めることはありません。年金の支給日や、これから年末が近くなると詐欺はますます増えてきます。美味しい話に飛び付かず、大事な貯金を守るためには少しでも怪しいと思ったら相談することが大切」と話している。