全国のみかん生産者などが一堂に会する第63回全国カンキツ研究大会が8月30、31両日、三重県で開かれ、熊野市金山町の大西誠さん(87)が令和5年度全国果樹研究連合会々長賞に輝いた。金山パイロットファーム代表取締役などを務め、次代の農業を担う人材育成や地域に優れた柑橘栽培技術の確立、地域農業の発展、地域活性化などの功績が評価された。
大西さんは昭和42年に金山町で独立就農を開始。JAの理事や経営管理委員としても手腕を発揮。平成16年6月には農事組合法人金山パイロット代表理事に就任。平成23年7月に株式会社MAKOTO農園を設立した。
この間、地域外からの新規就農者の長期研修を受け入れ、優良農地の斡旋などスムーズな経営確立をサポート。この取り組みは県の「みえの就農サポートリーダー制度」の起草モデルにもなった。また、直管の利用による省力的なマルチ被覆技術をマルドリ栽培に応用。半樹摘果技術との組み合わせによる隔年結果防止と品質向上技術が評価され、平成21年には農林水産省の「農業技術の匠」に選定された。
金山パイロットでは黒字経営への転換と累積赤字の解消を実現。子会社であるみかんジュース加工会社「株式会社夢工房くまの」を設立し、地域農家から小ロットの委託加工を引き受け、柑橘農家の経営安定にも寄与した。
晴れの受賞に大西さんは「70年、柑橘栽培に携わってきました。隔年結果の防止や栽培技術の確立などで、高品質な最高の味のみかんづくりに全力で取り組んできました。表彰は光栄なことです」と話した。