台風7号は15日午前5時ごろ、和歌山県の潮岬付近に上陸。紀伊半島はじめ広域に断続的な強い風雨をもたらした。三重県災害対策本部によると、16日午前5時半現在、県内では強風に煽られ転倒するなどし8人が怪我。熊野市でも40代、60代、80代のいずれも男性3人が軽傷を負った。紀南地方は不幸中の幸いで予想されたほど雨が降らず、紀伊半島大水害のような大規模災害にはならなかったが、暴風により各地で倒木などの被害があり、停電、断水に苦しめられた。
雨量は大台町宮川で15日午後2時に降り始めからの24時間雨量605㍉。尾鷲市では15日午後8時までの24時間雨量244㍉、御浜町で15日午後2時までの24時間雨量236㍉。瞬間最大風速は紀北町長島で31・7㍍。
熊野市の山間部や木本、井戸町、紀宝町全域、紀北町の1部に警戒レベル4の避難指示、御浜町など15市町に同3の高齢者等避難が発令された。県内の市町ではピーク時に789世帯1057人が避難所などに避難。東紀州地域ではピーク時で熊野市68世帯85人、尾鷲市60世帯72人、御浜町17世帯22人、紀宝町60世帯85人、紀北町62世帯97人が避難した。
倒木などの影響か、県内約5万8千戸で停電。ピーク時では熊野市約5400世帯、尾鷲市6100世帯、御浜町1670世帯、紀宝町2530世帯、紀北町1320世帯が停電。この影響により断水も発生し、県防災対策本部の把握分では熊野市2427世帯が断水した。
暴風の影響で熊野市や南牟婁郡では倒木が相次いだ。世界遺産「花の窟神社」では参道が倒木や折れた枝で埋め尽くされた。木本神社でも拝殿裏の400年ものの大木が折れた。市街地ではシャッターやトタンが剥がれる店舗なども。尾鷲市では朝日町の念仏寺の樹齢約200年の松が根本から倒れ道路を塞ぎ、電柱2本が折れた。熊野市では停電により国道42号などの信号機にも影響があった。
熊野市紀和町の国道311号では土砂崩れが発生。尾鷲市の尾鷲港、九鬼漁港、賀田湾では漁船計12隻が転覆や沈没するなどの被害もあった。
台風が過ぎ去った16日、各地では早朝から木の葉など後片付けする人の姿が目立ち「今回の風は本当に怖かった。屋根が吹き飛ぶかと思った。雨が少なかったのが本当に良かった」と話していた。