御浜町は4日、昨年度末をもって同町消防団を退団した①元町消防団長の松田耕一さん(勤続39年9ヵ月)②元阿田和分団の冨士本賢志さん(30年7ヵ月)③元市木分団の大和田勝義さん(24年)④元阿田和分団班長の山本智永さん(20年3ヵ月)⑤元尾呂志分団の嶋本和行さん(19年8ヵ月)⑥元神志山分団の門定幸さん(19年)⑦元阿田和分団の田中高美さん(16年11ヵ月)⑧元阿田和分団の中家大輔さん(15年8ヵ月)⑨元阿田和分団の加茂谷学さん(13年8ヵ月)⑩元市木分団の瀬古博文さん(11年)―に感謝状を贈った。同日、役場で行われた授与式には松田、山本、田中さんが出席。大畑覚町長から感謝状を受け取り、ねぎらいの言葉を受けた。
これまでの消防団生活で印象に残っていることとして、松田さんと山本さんは12年前の紀伊半島大水害、田中さんは山地区での山火事を挙げた。松田さんは水害時には行方不明者の捜索のため紀宝町浅里に応援に駆け付けたこと、寺谷の山火事(※)では班長として消火の指揮にあたったと振り返った。
今回、感謝状を受け取った10人はいずれも10年以上と長きにわたって町の防災減災に尽力した。消防団の活動は火災だけでなく災害、行方不明者の捜索など多岐にわたることから、松田さんは「緊急出動することもあって家を留守にすることや危険な所に行くこともあった。妻には心配をかけたと思う」と感謝を示し、これからの消防団へ「南海トラフ巨大地震へどのように対応していくのかが課題」と期待を寄せた。
大畑町長は10人へ「それぞれの活動の中には緊急出動することもあったと思います。町の防災へのご尽力、ありがとうございました。今後も町の防災対策にご協力を」と賛辞を贈った。
※寺谷の山火事…平成9年1月19日の昼下がり、1本のポイ捨てタバコが原因で発生。火は乾燥しきった上市木地区の山林をまたたく間に走り抜け、消防署員らが現場に駆けつけた時にはすでに火が山頂に届こうとしていた。延焼箇所が非常に広く、町は町内の全分団に応援を要請、防災ヘリコプターも出動する事態となった。消火活動は翌日の午前1時まで続き、鎮火後も数名の団員が消化器を持って山林を登り、残り火を消してまわった。