国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所は20日、熊野労働基準監督署と合同で安全講話と建設現場の安全パトロールを実施。労働災害防止へ安全対策の徹底を促した。
同事務所では毎月、発注工事における労働災害や公衆災害等の工事事故ゼロを目指し、受注・発注者双方による工事安全協議会(安全パトロール)を開いている。今回はその協議会を熊野労基署と合同で開催。参加者は発注者側が同出張所と紀勢線推進室の現場監督職員、受注者側は施工業者の監理技術者らで20人以上が集った。
はじめに有馬町の熊野維持出張所で勉強会があり、はじめに紀勢国道事務所の近藤弘司副所長が「中部整備局管内で死亡事故が連続して発生しており、より安全な施工へいろんな視点でアドバイスを頂き、受注者・発注者ともに工事の安全に努めていただきたい。今回の内容を下請け業者や担当者にもお伝えいただき、より一層安全に工事を終えられるよう取り組んでいただきたい」と挨拶。熊野労基署の小西勲署長も「最近、全国で重大災害が多発している。県内では1月時点で5人が労災で命を落とした。昨年1年間で8人だったことからもものすごいペースであることがわかる。熊野管内では労災が減少傾向であったが、昨年末あたりから増加に転じた。建設業は重大災害が発生するリスク高い業種だが、1日1日を安全確実に施工して頂くようお願いしたい」と呼びかけた。
引き続き熊野労基署の佐藤祐馬監督・安衛課長が労災の発生状況や死傷者数100人未満を目指す「アンダー100くまの」の取り組み、管内の建設業における労災の特徴などについて説明した。佐藤課長は「管内では転倒災害、はさまれ・巻き込まれ災害、墜落・転落災害を重点対象として取り組みを進めている」とし、現場での墜落防止対策としてトラロープではなく、しっかりと打ち込んだ手すりの活用も促した。また、日本土木工業の松田裕介監理技術者が手すり先行工法やはしご・脚立使用の際などの安全対策を紹介した。
その後、大泊町内の熊野第一トンネル工事現場へ移動し、現場の安全パトロールを実施。現場で行われている安全措置をくまなくチェックした。参加者からは現場の整頓や安全通路の整備などに賞賛の声があった一方、労基署からは是正点の指摘もあり、参加者は現場の更なる安全につなげるべく、熱心にメモを取っていた。