木高出身の大井、榎本さんも 熊野市舞台にロケ開始 大阪芸大 杵村組の映画「カフネ」

 大阪芸術大学映像学科の学生たちが熊野市を舞台に制作する映画「カフネ」のロケが18日から始まった。撮影スタッフには木本高校出身の大井薫幾さんと榎本陸さんの姿もあり、故郷をフィルムに焼き付けたいと収録現場を支えている。

 同映画は4人の高校生の物語。望まない妊娠をストーリーの柱に「本音で語り合うことで生まれる真の対話」をテーマにした。熊野でロケを行っているのは同学科の映画「カフネ」杵村組(杵村春希監督、吉田光歩プロデューサー)のチーム。ロケにはスタッフ20人と主演の山﨑翠佳さんらキャスト8人、総勢28人が参加している。

 ロケは18日に木本町の本町通り、19日は磯崎町の空き家で行われた。これまでにも短編映画などに関わってきた監督の杵村さんは「心と心が触れ合う喜びと苦しみを感じながらも、誰かを想うことで生まれる人間の美しさ、温かさを感じてもらいたい。優しい映画を届けたい」と収録を進める。

 ロケ地の中心となったのは熊野市磯崎町。助監督を務める大井さんの祖父母が同町で健在。大井さんは子どもの頃から何度も磯崎を訪れており「多くの若い人が磯崎で映画を撮影するのは今までなかったと思います。個人的には、私が今まで身近で見てきた風景が主人公の感情と結び付いた、映像の美しい映画になればと思っています」と目を輝かせた。

 写真家として活動する榎本さんはスチルカメラを担当。ロケの様子を記録し、スタッフやキャストの表情、収録にかける杵村組の動静を切り取る。榎本さんは「ロケ現場に入って撮影するのは初めての経験。どのタイミングで撮影すれば良いかだんだん掴めてきました。撮影した写真は熊野市での試写会のポスターなどにも使えれば」と、愛機のカメラたちをなでた。

 今後は21日早朝に磯崎港、23日に木本町などでロケを行い、29日のクランクアップを目指す。プロデューサーの吉田さんは「商業映画のように一度きりではなく、毎年同じ時期に観てもらえる、文化になるような映画を作りたい。3月ぐらいに熊野市民会館で試写会が開催できれば」と話した。

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