稲作の海渡来伝える 花の窟神社 鈴木さんが民話を奉納

 熊野市井戸町、元熊野教育事務所長の鈴木美文さん(83)は22日、有馬町の花の窟神社(山川均宮司)へ稲作の海渡来民話を記した書を奉納した。お綱掛け神事や古代米など、同神社の謂れを美しい文字でしたため、分かりやすく解説している。

 奉納された書はタテ69㌢、ヨコ136㌢の全紙サイズ。鈴木さんの文章や「みえ東紀州の民話」から出典した「稲作の海渡来伝説」を記した。約1450文字に及ぶ文を、地元書道家の川端春蔦(節子)さんが画仙紙に一文字一文字丁寧に仕上げた。奉納に際し22日にご祈祷が行われ、鈴木、川端さんはじめ氏子の和田いく子さんらが参列。山川宮司が神前に奉告した。

 鈴木さんによると、奉納のきっかけは、山川宮司から近年、花の窟神社へ多くの修学旅行生が訪れていると聞いたこと。生徒たちがメモを取ったり写真を撮ったり、花の窟神社を学習している様子を知り、役立ててもらおうと思ったという。鈴木さんは「花の窟が最古の神社であることだけでなく、海渡来により稲作が伝わったことなどを知ってもらえればと奉納しました」とにっこり。

 当初は10月2日の秋の例大祭に合わせて奉納を予定していたが、川端さんの努力もあり早めに完成した。川端さんは「にじみの少ない古い紙を選んで書きました。一文字失敗しても書き直しで集中力が必要。完成してホッとしています」と表情を緩めた。

 奉納された物は社務所に展示し、だれでも読むことができる。山川宮司は「南方から流れ着いた米が、弥生時代にこの地域の定住の礎となったのでは。奉納して頂いた物を神社の宝として伝えていきたい」と話していた。 

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