紀宝町内で4年ぶりにアカウミガメの上陸が確認された。28日早朝、滋賀県から来ていた釣り人が同町鵜殿の熊野川河口部で釣りをしていたところ、ウミガメの個体と2ヵ所で上陸痕を発見。同日、役場に連絡があり職員と伊藤柊也飼育員が現地調査に向かったところ、ウミガメはすでにいなかったが、砂浜に移動した跡を確認した。紀宝町では2018年7月に上陸・産卵が見つかって以来。
伊藤飼育員によると、2ヵ所ともこの個体による跡と考えられ、そのうち1ヵ所で砂を掘った形跡が確認されたが、産卵は確認できなかった。数日後、近辺にまた産卵に戻ってくる可能性があるとし、期待を寄せる。
現在はウミガメの産卵シーズン真っ最中で、保護監視員が中心となってパトロールを行っている。パトロールが始まった1988年度から井田海岸で観測されたウミガメの上陸頭数・産卵数のデータを見ると、同年に最多の37頭の上陸を確認、うち20頭が産卵した。その後、1989年9月19日に超大型の台風19号が上陸。海岸に大量の流木やごみが流れ着き、海岸の景観が一変。これ以降、ウミガメの上陸・産卵頭数ともに激減し、2014、15年度はウミガメの上陸はあったものの、産卵は確認できなかった。紀宝町では2018年7月に1頭の上陸と産卵が確認できて以降、上陸も産卵も見られていなかった。
保護監視員の萩野進也さんは「これからの調査地に追加したい」と話している。
なお、今シーズン、御浜町では7ヵ所の上陸痕が確認されているが、産卵は今のところ見つかっていないという。