熊野市は金山町で大型農業関連施設「熊野アグリ・パーク(仮称)」事業の整備を進めている。今年度はアグリパーク構想の基本構想策定を予定。それに先駆け、新たな特産品開発に力を注いでおり、コーヒーの木の実証栽培を始めた。
同事業は農業生産と集客交流の場を一体的に整備し、市内産業の活性化を多角的に牽引する新たな拠点とするもの。農業生産を中心とするアグリ部門と、集客交流の場となるパーク部門を計画。令和4年度に基本構想、5・6年度に基本計画と基本設計、7・8年度に実施設計と許認可申請、令和9年度に事業着手とのスケジュールを見込む。
基本構想は伊賀の里もくもく手づくりファームの創始者・吉田修さんらの協力を受け本格的な策定作業を進めている。基本理念として「ほんわり~隣にいるのは自然です~」、施設の仮称として「くまの ほんわりファーム」をイメージに▽醸成▽循環▽甦りーの3つのコンセプトが考えられている。子ども連れの家族をターゲットの中心に、施設の方向性は▽大地の力が感じられる▽熊野でしかできない体験やまなびが得られる▽6次産業と福祉がむすびつくーといった案も。
アグリ部門は約30㌃の農地を造成。15㌃程度に温室園芸施設4棟ほどを整備する。敷地内には先行してビニールハウスが建設されており、地域での新品種栽培や新技術導入の実証圃場として、また就農者の研修施設を兼ねた人材育成拠点として活用していく。
ビニールハウス内では今年度、環境測定機器等を用いてイチゴとトマトの栽培はじめコーヒー、カカオの実証栽培を行う予定。収集したデータを地域に応じた栽培方法の確立や品質向上に活かし、地域農業全体の付加価値向上などにも波及させたい考え。
コーヒー栽培に関しては鹿児島県徳之島での先進地視察を踏まえ、5月末から農業専門家の意見を聞きながらコーヒーの木の実証栽培を開始した。コーヒーやカカオは温室で越冬が出来るかどうか試す。
4月からは大西浩文副市長をトップに関係課長で組織する整備事業推進委員会、関係課課長補佐と係長で組織するプロジェクトチームを立ち上げ、整備における課題解決や基本構想の裏付け作業などを行う組織体制を構築した。