コロナ過で3年ぶりの開催 棚田ににぎわい戻る 丸山千枚田で田植えの集い

 熊野市紀和町の丸山千枚田で21日、3年ぶりとなる田植えの集いが開かれ、棚田のオーナーらが収穫の秋を楽しみにしながら、自らの手で稲を植えた。

 日本の棚田百選にも選ばれている丸山千枚田は1601年には2240枚あったと記される。平成5年には530枚まで減少したが、地域住民らが「丸山千枚田保存会」を結成。多くの応援を得て、現在は1340枚まで復元している。オーナー制度は棚田保全などを目的に平成8年度から導入され、毎年、田植えや稲刈りの時期にイベントが行われている。ここ2年はコロナ禍で中止しており、この日もオーナーの田に入る時間帯を調整し、ふるまいを中止するなど、対策を施しての開催となった。

 21日は県内外から47組のオーナーや家族、ボランティア、関係者ら約332人が千枚田に訪れた。受付を済ませたオーナーたちは、早速、自分の田へ。各田んぼには、木本、紀南高校書道部が名前を書いた立て札が設置され、オーナーを歓迎した。

 オーナーたちは時折降る雨もなんのそのと新品種「なついろ」の苗を手植え。子どもたちは泥に足をとられては楽しそうに歓声を上げ、田植えに励んでいた。伊勢市から訪れた中西昊大君(10)は「田植えは初めて。かがむのがつらかったけど、慣れてくるととっても楽しかった。秋の稲刈りも楽しみです」と笑顔。母親の美紀さん(44)は「コロナであまり出かけられないなか、貴重な体験ができました」と家族での千枚田を満喫していた。

 午前10時30分からはセレモニーがあり、河上敢二市長が「復田を開始した平成5年から30周年となり、今年は地域が誇る棚田は未来に残すという趣旨である農水省の『つなぐ棚田遺産』に指定していただき、ユネスコの未来遺産にも指定されている。復田後の維持は保存会の皆さんや多くのオーナーの皆さんのご支援を受けているからこそ。将来にわたって残していかなければならない棚田であり、ご支援とご協力を」と、歓迎と保全協力への感謝の言葉。来賓の吉光成人東海農政局地方参事官、久保智市議会議長、畑中新子副議長、谷川孝栄県議、市議や県の各部長、相模女子大の風間誠史理事長らが紹介された。

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