国土交通省中部運輸局鳥羽海事事務所と県警本部地域課水上警察隊は17日、紀宝町北檜杖で河川観光船事業を営む熊野川体感塾(谷上嘉一塾長)に対して安全点検や安全指導を実施。同事務所は船の装備や乗船時の安全確認の方法などをチェックし、県警は事務所内に船舶での水難事故防止にかかる広報チラシの掲示や、利用客への啓発チラシを依頼した。
同事務所は4月から8月にかけて展開する「小型船舶に対する安全キャンペーン」として、また県警は先月23日に北海道知床半島の沖合で発生した観光船「KAZU 1」(カズワン、19㌧)の沈没事故を受けてのもの。今月17日現在、この事故で乗客14人が死亡し、12人が行方不明となっている。
熊野川体感塾は、世界遺産・熊野川を川舟「三反帆」で遊覧できる体験の提供など、15年前から熊野川流域の景観・歴史・文化を後世に伝えていくための活動等を行っている。川舟は長さ8・7㍍、14人乗りで4隻所有している。遊覧体験は体感塾前から鵜殿の熊野川河口部までの片道2㌔を約1・5時間かけて楽しめる。運行は通年行われているが、2年前からはコロナの流行によってほとんど運行できていない。
同事務所や県警はチェックシートなどを用い、船舶免許を所有しているか、ライフジャケットなどの装備はきちんとあるか、船上からの連絡方法は確立されているか、乗組員が危険箇所を把握しているかなど細かく調査。その後、実際に川舟に乗り、実地調査を行った。
谷上塾長は「体感塾は地域を元気にしたいという思いから始まった。運行の際に気を付けているのは、お客さんの安全が第一だということ」と話した。