熊野市教育委員会は、市内の小中学生に郷土の歴史や文化、先人のはたらきなどを紹介する「子ども文化財読本~熊野の歩みと文化財~」の第2回改訂版を発行。「多くの子どもたちに活用してもらえれば」と期待を込めている。
今回改訂された「子ども文化財読本」は、郷土の歴史を軸としながら、その歩みの中で生み出されてきた文化財に目を向けた。編集委員会には松田健、松尾博司、仲森康純、和田利信さんが名を連ね、市内には100を超える文化財が残されているが、今回はその1つひとつを紹介するのではなく、郷土の歴史の流れを重視。現行の教科書に合わせてA4版にサイズを大きくし、1話ごとにルビを入れたり、写真を大きくしたりと工夫を凝らし、112ぺージのどこから読んでも面白く文化財を学べる内容となっている。
目次は「大昔の熊野」「天皇や貴族の時代の熊野」「武士が力を持ってきた時代の熊野」「武士の世の中」「近代から現代にかけての熊野」と5章に大別。「大昔の熊野」では津の森遺跡や花の窟神社、産田神社を、天皇や貴族の時代では熊野古道や多娥丸伝説、楊枝薬師堂のおりゅうを、「武士の時代」では熊野の豪族・有馬氏や北山一揆などを紹介している。
さらに「武士の世の中」では紀州藩の領地や捕鯨、木本の発展、井戸町の龍宮塔、新宮城主の水野氏、七里御浜の黒松林などを紹介。「近代から現代」では廃藩置県や田本研造、紀州鉱山などを取り上げた。
各章では「よみがえりの地」「徐福伝説」「二木島祭り」「大馬神社の狛犬」「『口』と『奥』」「木や鬼のつく地名」「河童伝説」などなど、興味を惹かれる物語が続々。貴重な昔の写真や木本の町割り図なども掲載されており、大人も楽しめる内容となっている。
松尾、和田さんは「地元を子どもたちに知ってもらえるよう、市内の小中学校に配布して授業でも活用してもらえればと思います。市立図書館にも置いてありますので、一般の皆さんもぜひご覧ください」と呼びかけた。