熊野市磯崎町で今月7日と17日、「くまの体験企画」(内山裕紀子代表)が主催する地域探訪ウォークイベント「第64・65回紀伊半島みる観る探検隊~磯崎・猪ノ鼻の史跡を訪ねて~」が開かれた。コロナ禍に伴い中止されていたイベントが2年ぶりに再開され、2日間で約60人が磯崎町に残る城跡や狼煙場跡など、古代のロマンを堪能した。
エコツアーなどを提供する「くまの体験企画」は昨年度、環境省などの第17回エコツーリズム大賞で見事、大賞に輝いている。紀伊半島みる観る探検隊はこれまで63回を重ねる人気イベント。毎回、県内外からファンが参加する。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年4月実施予定の催しから中止していた。
今回の舞台となった磯崎町は熊野市の漁師町。みえ熊野学研究会運営委員の向井弘晏さんが案内人となり、磯崎神社や元宮、猪ノ鼻灯台、猪ノ鼻城跡、展望所、軍用道路跡などを巡った。
道中の山道は事前に「熊野あらけ隊」(陰地成典代表)が整備。道を隠す葉や倒木などを取り除き、急傾斜の場所にハシゴを設置するなどした。ツアーにも同隊から陰地代表や尾川あや子、新谷愛子さんが同行した。
向井さんは要所要所で歴史や伝承などを分かりやすく解説。猪ノ鼻の由来は灯台の下にあった大岩が猪の鼻の様に見えたからという。その大岩は伊勢湾台風で流され、今はない。
猪鼻山には永禄11年(1568年)頃、堀内氏善の指揮で大屋(大谷)氏が築城した猪ノ鼻城の跡がある。参加者は向井さんから説明を受け、掘割や中世築城の石垣などを興味深く観察していた。17日のみる観る探検隊には、大屋氏の子孫も参加しており、感慨深そうにしていた。