31日惜しまれつつ閉館 熊野古道館(仮称)へと蘇り 紀南ツアーデザインセンター

 熊野市木本町にある紀南ツアーデザインセンターが31日に惜しまれつつ閉館する。施設は現在管理・運営する一般社団法人東紀州地域振興公社から熊野市に返還される。市では令和4年度予算で世界遺産熊野古道館(仮称)整備事業を計上。令和5年度以降に熊野古道などの展示・体験施設として蘇りを遂げる予定だ。

 同センターは木本町の代表的な林業家だった初代奥川吉三郎氏が奥川家の私邸として明治20年頃に建設した旧家を活用。熊野古道が世界遺産登録された2004年6月、県と熊野市・南郡の市町村でつくる紀南地域振興協議会が「紀南ツアーの企画や実施、地域づくり活動の拠点に」と整備した。

 広い土間や縁側に囲まれた2間続きの座敷、玄関には亀甲型の石を積み上げた豪壮な石塀もあるなど、歴史深さを感じさせる佇まいで来場者をもてなしてきた。熊野の秘境を探訪する旅や山村の暮らし体験など、様々なエコツーリズムを掘り起し、2013年には環境省の「第8回エコツーリズム大賞」に選ばれた。

 一方で同公社によると、近年地域内で新たな集客交流施設や観光拠点が整備されたこともあり、当センターが紀南地域で果たす一定の役割を終えたとの認識から、本年3月末をもって閉館し、熊野市に返還する運びとなった。同公社では「開館以来、沢山の方々にご利用頂き本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます」と話している。

 今後の施設の活用について、市では新年度の特色ある新規事業の中に「世界遺産熊野古道館(仮称)事業」として2638万1千円を計上。現在の紀南ツアーデザインセンターである旧奥川邸について、世界遺産・熊野古道や熊野市の特産品などに触れて学べる、展示・体験施設として改修する計画だ。これまで整備してきた周辺施設との連携強化により、中心市街地へのさらなる誘客・周遊等の促進を図る。市観光スポーツ交流課によると、令和4年度に改修工事を行い、翌5年度以降のオープンを目指す。

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