クマノザクラの活用や保全に関わる個人や団体が県境を越え、昨年2月に「日本クマノザクラの会」を発足。2年目に入った同会は19日、紀宝町鵜殿の福祉センターで総会を開いた。発起人の勝木俊雄会長、副会長でNPO熊野さくらの会の田尾友児代表らが出席。令和3年度の事業・決算報告や新年度・事業・予算案を確認した。
クマノザクラは自生地が三重、和歌山、奈良の3県にまたがる紀伊半島南部の固有種で、2016(平成28)年に森林総合研究所が約100年ぶりに発見した、1915年にオオシマザクラの種名が発表されて以来、国内の野生のサクラとしては約100年ぶりの新種。同会は、クマノザクラを保全して後世まで残していくとともに、適切に利用するための諸活動(地域住民への啓発活動、個体情報の収集や発信、調査研究、植栽計画の立案・提案など)を行っている。昨年12月31日現在、会員数は個人・団体合わせて正会員100、賛助会員65。
昨年度はクマノザクラの普及・啓発・保全に精力的に取り組み、管内各学校で記念植樹を行った。熊野市・南牟婁郡、新宮市などの市役所・役場など約20ヵ所に鉢植えの貸し出しを実施し、全てで開花が確認できた。昨年6月に新宮信用金庫から「令和2年度ひまわり基金地域貢献賞」を受賞した。
今後の計画としては、現在、法人化に向けて準備や手続きを進めている。そのほか、最新版リーフレットの製作・配布、ホームページやフェイスブック等での情報発信、会員向けクマノザクラの同定(鑑定)サービスの実施に向けて計画を進めていくという。また、熊野ライオンズクラブの大石基夫会長からロゴ入りブルゾン(上着)25着が贈られた。
勝木会長は、「今のところは地域内外にクマノザクラを発信できているのではないか」と手ごたえを示し、さらなる普及啓発を推進していくため、今後も意欲的に会員増加への取り組みを進めていきたいと力を込めた。来賓の西田健町長はコロナ禍にもかかわらず活発な活動に感謝を表し、「今後もともに活動を推進していきたい」と述べた。
同会は現在、会員(正規、賛助)を募っている。クマノザクラに興味のある個人、団体であれば誰でも入会できる。詳細は同会ホームページ(https://kumanozakura.jp)。