大規模災害が発生したことを想定し、各関係機関との通信網の確認を目的とした通信訓練が29日、熊野市、御浜町、紀宝町を舞台に行われた。災害時でも使用できるデジタル簡易無線や衛星系の防災行政無線のFAXを活用し、機器の習熟度を高めたりネットワークの動作を確認したりすることが目的で、3市町の災害対策本部と救護所(木本中学校、御浜町役場、鵜殿小学校)、紀南病院、熊野保健所、熊野市消防本部の計9ヵ所をオンライン会議アプリ「Zoom」でつなぎ、参加者が随時情報交換しながら取り組んでいった。
以前は救護所から紀南病院への通信網が整備されていなかったが、昨今、デジタル無線による通信手段が導入された。有事に確実に使用できる体制づくりのため、実際に使用してみて課題などを洗い出す必要がある。また、今回の訓練では参加者全員が機器を使用することもポイントとして行われた。
訓練は、1月27日午後2時に南海トラフを震源とする巨大地震(マグニチュード9・0、最大震度7)が発生し、当地方を含む広域が被災したという想定で、通信訓練はそれから48時間経っている状況で実施。災害対策本部、救護所が設置され、防災担当者らが情報収集や関係機関との連絡にあたった。救護所、災害対策本部、紀南病院はデジタル簡易無線、各所から保健所には衛星系の防災行政無線のFAXを使って通信。様々な傷病者の情報が書かれた「トリアージカード」を用い、傷病者の救護、搬送状況などの情報を交換した。救護所では重症度の高い救護者を紀南病院に搬送するための要請方法として無線を活用した。