第101回全国高校ラグビー選手権大会の決勝戦が8日、大阪府の近鉄花園ラグビー場で開催され、熊野市木本町出身の石田太陽君(18)が所属する東海大大阪仰星高校が4年ぶり6度目の優勝。石田君は熱戦から一夜明けた9日夜に木本町の実家へ帰り、本紙に喜びを語ってくれた。
石田君は木本小学校在学中に熊野ラグビースクールへ入学。木本中でもラグビーを続け、小学校時代からの夢だった東海大大阪仰星へ進学し、精鋭が集う部員数110人という大所帯での競争を勝ち抜いてSH(スクラムハーフ)のポジションを掴んだ。その道のりには積み重ねた努力があり「仰星には全国レベルの選手が集まってきていて、その中でレギュラーを取るのは簡単ではありませんでした。そこで、何か一つでも飛びぬけたものを身に着けようと考えた時、自分の武器はスピードと感じ、タイヤ引きや筋トレ等で磨いてきました」と、振り返る。
2回戦からの登場となった今大会では、準々決勝の常翔学園戦でトライを決めたのをはじめ、視野が広くテンポの良い球出しで攻撃のリズムを作った。5試合全てで先発出場し、献身的なプレーで勝利に大きく貢献。特に決勝では巧みなステップで先制トライを演出したうえ、前半終了間際には相手の波状攻撃を食い止める〝ジャッカル〟を決め、後半の攻勢につなげた。
石田君は「大会を通じて『自分が、自分が』とプレーするのではなく、チームの一員としてチームの勝利のためにという心がけがありました。自分で仕掛けるべきところは行ったが、周りの味方を信じてボールを託そうとプレーしました。全国優勝で嬉しい気持ちが一番ですが、小学校からずっと目指してきた舞台で5試合させてもらえたことが何より。こうした幸せな環境に置いてくれた両親に感謝しています」と喜びの言葉。今後は高校日本代表候補の選考が残るが、関西の名門・同志社大学へ進学して、ラグビーも続ける予定だという。
石田君は「僕は熊野ラグビースクールで、小学校の時からずっとラグビーの基礎から教わりました。その時の基礎とかラグビーの楽しさを教えてもらうことが無かったら今の自分はないと思っていて、感謝しかないです」と熊野のラグビー関係者にも感謝の言葉。熊野ラグビースクールの永阪志郎校長は「よく頑張った。高校日本一という貴重な経験で、この地域のラグビーの活性化にも役にたつし、子どもたちにも刺激になったと思う。指導者も喜んでおり、みんな感激した。特にディフェンス面でタックルが良く、仰星の組織ディフェンス、組織オフェンスをしっかり理解して、よくやっていた。今後の活躍も大いに期待しています」と称えた。
祖父の英雄さん(71)は「とにかく嬉しいのひと言」と孫の活躍を喜び、父・祐介さん(46)と、母・美紗さん(44)は「本人のラグビーはこれで終わりではなく、次のステージにも続く。身体に気をつけて、これからも頑張ってほしい」と愛息を称えるとともに、激戦続きの心身を思いやった。